「技術で勝負」なんて、もう時代遅れだ
もしあなたが、
「ウチは技術で勝負しているから大丈夫」
そう信じているのなら──
それは“勘違い”という名の爆弾を胸ポケットに入れたまま、
市場を笑顔で歩いているようなものだ。
冷静に考えてほしい。
今の半導体業界には、技術力のある企業など山ほどある。
そして、その中で「技術」を武器にできるのは──
たった1社だけ。No.1企業だけだ。
それ以外は、その他大勢に過ぎない。
つまり──
「技術がある」だけでは、1円にもならない時代に、
私たちはすでに突入している。
性能も納期も品質も、どこも似たりよったり。
そんな会社が横並びになった瞬間、待っているのはこれだ。
「あとは価格で決めます」──
その瞬間、あなたの会社は「技術があるのに選ばれない側」へと叩き落とされる。
つまり、“安売り要員”という名札を貼られた時点で、ゲームはもう終わっている。
では、どうするか?
答えは、すでに出ている。
いま、BtoB市場で価格競争を制している中小企業は、
「誰が対応するか」で商談の主導権を握っている。
値引きではなく、「対応する人間の格」で価格を吊り上げている。
それが、今この瞬間の現実である。
価格を動かすのは“人間の格”だ
営業3人に、技術者2人。
社内のエース級を揃え、万全の体制で商談に挑んだ。
──なのに、結果はあっけなかった。
「御社より安い会社があるので…すみません」
そう言われて終わった経験、あなたにもあるはずだ。
では、こう言ったらどうなるか?
「契約後は、社長である私が責任を持って対応します」
たったひと言。
でも、それだけで空気は変わる。
顧客は即座に察する。
「この案件、会社のトップが出てきた。これは本気だな」
「何かあっても、逃げ場のない人が責任を持ってくれる」
「この会社、信頼できるかもしれない」
──そう、“対応してくれる人間の格”で、
顧客は製品そのものの価値を再評価するのだ。
「社長=会社の顔」である。
その人物がわざわざ自分たちの案件に出てきた──
その時点で、製品・サービスの見え方が変わる。
つまりこれは、単なる心理的な好印象ではない。
価格が跳ねる仕組みそのものである。
技術で差別化できないなら、“姿勢”で勝て
中堅・中小の半導体企業にとって、
技術で勝負することには限界がある。
なぜなら、
・競合と似たようなチップ
・競合と似たようなスペック
・競合と似たようなサービス
・競合と似たようなスライド資料──
差なんて、ほとんどない。
これが、現場のリアルだ。
仮に「技術で勝てる企業は市場に1社だけ」とするのなら──
残りの99%は、別の武器を持たなければ生き残れない。
その武器とは何か?
それが、「誰が商談に出てくるか」というただ1つの違いだ──
「この案件は、平社員ではなく社長が管理している」
「なにかあっても、逃げられない人が対応してくれる」
「普通の社員より、社長の方が判断や対応が早い」
──こうした言葉が持つのは、安心という名の“心理的保険”。
この“心理的保険”があるだけで、顧客の財布のヒモは緩む。
なぜか?
それは、顧客が本当に大事にしているのは、
製品の「スペック」や「安さ」ではなく、
「安心して任せられるかどうか」だからだ。
つまり──
「社長対応」とは、ただの“応対”ではない。
それは、“安心”という名のプレミアム商品を売っているのと同じである。
技術力が1番でなくても、価格は2倍にできる
たとえば──
年商30億円規模の、半導体製造装置向けの部材メーカーを想像してほしい。
製品は、ウエハーを固定するための静電チャック。
市場には、似たような製品がいくつもある。
性能はほぼ横並び。競合も多数。技術的な優位性なんてない。
差別化?そんなもの、簡単じゃない。
だが──
この会社は、価格を競合の2倍に設定し、
それを堂々と提示することができる。
なぜ、そんな強気な価格を顧客に提示できるのか?
理由はただ一つ。その“切り札”は、たったひと言だった。
「御社が契約してくれた場合、ウチは特別に社長対応をお約束します」
──それだけ。だが、それで十分なのだ。
顧客はこう思う──
「この会社、本気でウチに向き合ってくれている」
「何かあっても、社長に直接相談できる」
「これは“普通の取引”じゃない。“VIP枠”だ」
その瞬間、こう判断する──「それなら、2倍払ってもいい」
この場合、
顧客が買っているのは、「静電チャック」ではない。
「俺たちは特別扱いされている」という優越感
「いざとなれば社長に直談判できる」という安心感
「社員対応よりも上質な納品が来るはず」という期待感
これらが合わさった“錯覚資産”が、
顧客の意思決定を一気に加速させるのである。
これは、ラーメンに乗った“金箔”や“金粉”とまったく同じ構造だ。
味(性能)は同じでも、「特別に見える」だけで、価格は跳ね上がる。
あなたが出るしかない──“対応する人間”が価格を変える
繰り返す。
技術だけで勝てる時代は、もう終わった。
No.1の技術を持っていない限り──
比較され、値切られ、消耗させられるだけだ。
だが、「社長が対応する」──
この一手が加わった瞬間に、
すべての商談は“特別扱い”に格上げされる。
その場は、もうただの商談ではない。
経営判断の場になる。
顧客の目が変わる。声のトーンが変わる。
「これは本気だな」──そう感じた瞬間に、価格の基準も変わるのだ。
「ウチは中堅・中小企業でブランドもない」
「技術には自信があるが、売上は伸びない」
そう悩んでいる中堅・中小企業の社長──
今こそ、あなた自身が前に出るときだ。
「私(社長)が対応します」と大声で言え。
そして、“価格2倍”の見積書を堂々と出せ。
顧客は、
“対応する人間の格”で、その会社の本気度を見ている。
顧客に舐められるな。
競合と並べられるな。
価格のルールを、“出てくる人間”で塗り替えろ。
これが、No.1の技術力を持っていない半導体企業が、
価格競争の地獄から抜け出すための唯一の道である。