もしあなたが、
「製品名なんて誰が決めても同じだ」
「スペックさえ良ければ、自然に売れていくはずだ」
──そう思っているのなら、今すぐその幻想を捨て去れ。
それは、昭和の工場思考そのものであり、
現代の市場では通用しない時代遅れの発想だ。
この認識を放置している限り、あなたの会社は“製品名”という、
最も基本でありながら、最も軽視されがちなマーケティング武装を失ったまま、
顧客の関心を、日々じわじわと逃し続けることになる。
しかもその見落としは、展示会、広告、営業、商談──
あらゆる集客・販促活動を土台から崩壊させる。
どれだけ他を強化しても、“名前”が抜けていれば意味がない。
これは、まるで司令官が戦場に出る兵士に向かって、
「武器は各自で適当に持ってこい」と命じるようなものだ。
競合企業は、ブランドという名の装甲をまとい、
緻密に戦略設計された“マーケティング戦車”で市場に突入してくる。
では、あなたの会社はどうか?
顧客に名前すら覚えてもらえない兵士──
つまり製品を、竹やり一本で最前線に送り出してはいないか?
そんな戦い方で勝てる時代は、すでに終わっている。
いまどき、名前を覚えてもらえない製品が勝てる市場など存在しない。
あなたの会社が年商を本気で伸ばしたいのなら、
まずは“製品名”という言葉の武器に、全力を注げ。
目次
その型番、本当に顧客に伝わっているのか?
今すぐ、自社の製品カタログを開いてみてほしい。
そこに並んでいる製品名は──
「RX-1234-K」「TDS-MN-5100-S」「MPM-X9F」……
まるで暗号のような、記号の羅列ではないか?
その名前を初めて目にした顧客が、
製品の“特徴”“用途”“価値”を一目で理解できるだろうか?
顧客の立場に立って考えてみよ。
展示会のパネルで、あるいは検索結果の一覧で、その名前を見たとき──
「ふーん」で終わっていないか?スルーされていないか?
つまり、何も伝わっていないのだ。
それは“製品名”ではない。
ただの在庫管理コード。
あるいは、社内の技術者同士だけがわかるメモ書きに過ぎない。
製品名とは本来、
「この製品が何者で、誰のために、どんなメリットをもたらすのか」
──それをたった一言で伝える“設計された記号”でなければならない。
そしてその名は、顧客の脳内に刺さり、
記憶に焼きつく言葉の武器であるべきだ。
にもかかわらず、多くの半導体企業では、
その命名を“ネーミング素人”である技術者に丸投げしてしまっている。
それは、看板も出さず、ロゴも掲げずに、
フランス料理店を開業するようなものだ。
実績もあり腕も良いシェフが、ミシュラン三つ星を目指していても、
「そもそも料理店と認識されていない」なら、審査員は一生来ない。
どれだけ技術力が高くても──
その製品名が意味不明なら、顧客の記憶にも市場の認識にも引っかからない。
つまり、“存在していない”のと同じだ。
技術者が命名する製品名は──営業妨害である
たとえば、営業社員がこう切り出す。
「こちらのRX-1234シリーズは、12bitのデータ信号を高速に処理できる仕様でして…」
──その瞬間、顧客の思考はシャットダウンする。
話の中身ではない。“製品名”でつまずくのだ。
なぜか?
「RX-1234」という意味不明な言葉を理解するために
“脳の負荷”がかかり、思考が拒否反応を起こすからだ。
✔︎ 覚えられない=検索されない
✔︎ 意味がわからない=興味を持たれない
✔︎ 記号だらけ=他社製品と区別がつかない
✔︎ 聞き取れない=メモすらできない
つまり──
売るための第一歩であるべき製品名が、
むしろ営業活動の邪魔になっているのだ。
断言する。
技術者が命名した「意味不明な型番」は、営業を“妨害する存在”に化ける。
あなたが、
どれだけ展示会に出ようと、
広告に予算をつぎ込もうと、
営業部隊を2倍にしようと──
製品名が“詰んで”いたら、すべては無駄である。
名前の段階で、すでに勝負は終わっているのだ。
製品名=売上だ──意味が伝わり、覚えやすくなければ即アウトである
たとえば、Appleの「A17 Pro」や、NVIDIAの「GeForce RTX 3090」──
これらは単なる型番ではない。製品記号ですらない。
これらは「ブランド」であり、「マーケティング戦略の結晶」であり、
企業の「アイデンティティ」であり、そして最終的には「売上」そのものだ。
名前を聞いた瞬間に、顧客の頭に浮かぶのは──
「最新モデルっぽい」
「ハイエンドに違いない」
「これはゲーマー向けの高性能製品だな」
という、“価値の予感”である。
この“なんとなく価値がわかる”ネーミングが、
検索を生み、会話を生み、指名買いを引き起こす。
これが、製品名がマーケティングの起点になる構造だ。
一方、日本の半導体企業はどうか?
・技術者が命名し、
・管理者が「とりあえず通し番号で」と承認し、
・営業が意味もわからないまま、その名前で勝負を挑む。
──これでは売れるわけがない。
ネーミングの失敗は、マーケティングの失敗である。
そしてその“負け戦”の証拠が、いま目の前にある──
あなたの会社のカタログにズラリと並んだ、意味のない製品名だ。
製品名を変えろ──マーケティングは“名前”から始まる
ネーミングは、マーケティングにおける“最初の砦”だ。
ここを突破できなければ、展示会も、営業も、広告も、動画も──
すべてが無力になる。
顧客の心に火をつけたければ、
まず「これは自分ごとだ」と思わせなければならない。
そのためには、聞いた瞬間に期待が湧くネーミングが不可欠だ。
「これ、俺たちのような会社のために作られたんじゃないか?」
──そう思わせる製品名でなければ、記憶にも残らず、検索すらされない。
だから、今すぐやれ──
✔︎ 製品名に「誰向けか」「何が強みか」「どんな効果があるか」の要素を盛り込め
✔︎ 日本語・英語での、「意味」「語感」「発音しやすさ」を徹底的に磨け
✔︎ 同じ製品でも、販売国によって製品名はカスタマイズせよ
✔︎ 製品名は“技術アピール”の延長ではなく、“マーケティング戦略”として扱え
✔︎ 必要なら、ネーミング専任の人材を採用せよ。外部のプロでも構わない
製品名は、単なる識別記号ではない。
それは、企業の顔であり、武器であり、売上そのものだ。
「いい製品を作っているのに売れない」──
その原因は、スペックではない。名前だ。
“売れる名前”をつける半導体企業だけが、
これからの市場で生き残り、そして──勝ち続ける。