もしあなたが、
「営業成績が最下位だったから」
「若くてSNSにも詳しそうだから」
「マーケティングと経理はなんとなく似ている気がするから」
──そんな理由で社員をマーケティング担当に抜擢しようとしているのなら、
それは完全に愚策だ。いや、戦略的な自殺行為である。
それは、戦場に兵士を送り出すのに、武器も地図も与えず
「気合でなんとかなる」と丸腰で突撃させるようなものだ。
──いや、それ以下だ。
丸腰の兵士が倒れても、失われるのは1人の命で済む。
だが、間違った人材が仕切るマーケティングは、
会社の収益構造そのものを、長期にわたって内側から腐らせる。
「売上や利益がなぜ伸びないのか、分からない」
「広告を出しても効果が感じられない」
「展示会に出ても、名刺交換だけで終わる」
──あなたがそう感じているのなら、まず疑うべきは
「誰にマーケティングを任せているのか?」である。
適性のない人材、やる気や能力のない人材に、マーケティングを任せるな。
会社の人件費を、“未来の売上に繋がらない固定費の墓場”にしてはならない。
目次
その人選が会社を潰す──“無音の時限爆弾”の正体
マーケティングには、他の業務と同様に性格的な適性がある。
これは、職務経験やスキルとはまったく別の軸にあるものだ。
つまり、「やればできる」では通用しない、
“向いているか、いないか”という資質の問題である。
適性のない人材にマーケティングを任せれば、成果が出ないのは当然。
それは、「泳げない人間を水泳の競技会へ出場させる」ようなものだ。
にもかかわらず──
いまだに年齢や性別、性格の良さ、さらには過去の功績だけで
人選してしまう経営者が後を絶たない。
それが、会社の未来を“静かに破壊しはじめる”
最初の一手であるということに、気づかずに。
では、その「静かな破壊」は、どこから始まり、何を奪っていくのか?
適性のない人間をマーケティング担当者に任命した結果、
組織で起きる“地獄”はこうだ──
✔︎ 売上が上がらない。当然、利益も上がらない。
✔︎ 見当違いの広告・SNS施策に走り、制作費や広告費が文字通り“溶ける”。
✔︎ 広告代理店の言いなりになり、不必要な“お付き合い”が際限なく続く。
✔︎ 自社にとって望ましくない「質の低い」顧客ばかりを集めてしまう。
✔︎ 既存顧客やキーマンとの関係が希薄化し、競合に根こそぎ奪われる。
✔︎ 自社ホームページが「内輪の自慢話」になり、信頼を損なうPRツールへと堕落。
✔︎ 数年単位で築くはずだった市場シェア・競争優位が崩れ、10年単位の損失となる。
──これが、“向いていない人”を任命した会社が辿る末路だ。
つまり、これは単なる人事ミスでは済まされない。
「人材配置の誤り」=「会社の未来を潰す時限爆弾」なのだ。
しかもこの爆弾は、“無音で爆発する”。
経営者がその異常に気づいたときには──
すでに顧客は離れ、営業は疲弊し、会社の信用は地に落ちている。
今すぐ外せ──マーケティングを腐らせる「3つの地雷人材」
では、具体的にどんな人間が、“マーケティング不適格者”なのか?
以下に、典型的な3タイプを挙げる。
もし、これに当てはまる人材が社内にいるのなら──即、配置転換せよ。
ためらっている暇はない。そのまま任せれば、会社の未来は確実に腐っていく。
不適格者1──マーケティングに興味がない人間
興味や関心がない人間に、マーケティングは絶対に務まらない。
大前提として、興味がない人間は、動かない。そして考えない。
マーケティングとは、「正解なき実戦」である。
昨日の成功が、今日の失敗になる世界だ。
そのため、言われたことだけをこなす、“指示待ち人間”にできる仕事ではない。
こういう人間にありがちなセリフは、だいたい決まっている──
「半導体企業にYouTubeって…それって効果あるんですか?」
→ 効果があるかどうかなんて誰にもわからない。テストしろ。
成功している企業はすべて、“仮説と検証”を繰り返している。
「うちは〇〇分野においてNo.1の技術力で勝負してます。広告はちょっと…」
→ その技術力を、より多くの顧客に伝えるために、広告を打つのだ。
広告を打った後の売上と、打たなかった場合の売上も比較してみろ。
「価格が高ければ売れません。安くしましょう」
→ 根拠なき思い込みだ。高価格にしたら、売上が伸びた事例を知らないのか?
安くで売ったら、その分、販売数を増やさなければならないが、対応策は?
──これらのタイプの人材にマーケティングを任せると、
マーケ部は、“札束を燃やすだけのコストセンター”に成り下がる。
マーケティングに興味がない社員は、即刻、現場から外せ。
その存在自体が、あなたの会社にとっての“大きな損失”だ。
不適格者2──「自社の技術自慢」にしか興味がない人間
マーケティングとは、“顧客視点”で自社製品の価値を翻訳する仕事である。
そのため、自社の技術を語ることだけにしか興味がない人間は──失格だ。
このような人間が発信する内容は、すべて「独り言」である。
顧客がどの業界の人間であろうと、
「ウチの技術がいかにすごいか」しか語れない。
それでは“一方通行の押し売り”にしかならない。
たとえるなら──
野球界で活躍している大谷翔平が、ゴルフ選手である松山英樹に、
「俺の50-50達成時の映像を見てよ」と自慢しているようなものだ。
野球に詳しくない松山は、大谷が言う「50-50」の意味が分からず、
ただキョトンとするだけだろう。
競技が違えば、価値も伝わらない。
マーケティングもまた同じである。
あなたの会社の技術がいかに素晴らしくても、
それが顧客の製品開発や業務効率にどう貢献するのか──
この“翻訳”ができなければ、すべては自己満足に終わる。
「俺たちの話を聞け!」ではない。
「あなたの課題はこれですよね? ウチならこう解決できます」
──そう言えなければ、マーケティング担当者として失格なのだ。
顧客の視点を持てない社員は、今すぐマーケティング担当から外せ。
その社員が話している相手は、“顧客”や“市場”ではない。“自分”だ。
不適格者3──極端な目立ちたがり
そして最後に紹介するのが、“極端な目立ちたがり”タイプだ。
一見、SNS慣れしていて「発信力がある」と勘違いされがちだが──
このタイプは、マーケティングを“自己表現の場”と勘違いしている。
「YouTubeをやって目立ちたいです」
「“いいね”をもっと増やしたいです」
「Xのフォロワー、1000人突破が目標です」
──このように、
動機が“自己顕示”の人間は、マーケティングに最も向いていない。
なぜなら彼らは、SNS上で「バズるかどうか」しか見ていないからだ。
見るべきはそこではない。見るべきは、“顧客が動くかどうか”である。
半導体マーケティングは、365日、“地味で論理的な業務”の繰り返しだ。
派手さも映えもない。だが、それが現実であり、成果を生む唯一の道だ。
自分が目立つかどうかは、どうでもいい。
重要なのは、顧客が、何をきっかけに動くか──それだけだ。
マーケティングの現場は、自己表現の舞台ではない。
顧客の信頼と行動を勝ち取る、“静かな戦場”である。
自分を目立たせたいだけの人間は、即刻マーケ部から退場させろ。
戦場に必要なのは“目立つ者”ではない。“勝てる者”だ。
その担当者、本当に適任か?──“なんとなく”の人選が会社を潰す
あなたの会社のマーケティング担当者は、本当に大丈夫か?
部署の名簿を開け。名前と顔を思い浮かべろ。
その人材は、“マーケティングに向いている”と、自信をもって断言できるか?
少しでも迷ったのなら──その時点で、黄色信号だ。
「なんとなく置いている」人材が、最も危険である。
今すぐ、人材を見直せ。
向いていない人材を、惰性や情で配置し続けることは、
会社にとって“戦略的な自殺行為”に等しい。
もちろん──
あなた自身が、その必要性を強く感じているはずだ。
もしこの記事を読みながら──
「うちの○○さん、これ……完全に当てはまるな」
と感じたのなら、その直感は正しい。ごまかすな。否定するな。
今すぐ異動させよ。配置を変えろ。
「また今度」は、禁句だ。先送りした分だけ、ダメージは深くなる。
遅くなればなるほど、失うのは“時間”でも“金”でもない。
──5年後、10年後の“市場での競争力”そのものなのだ。