売れない理由は“技術”じゃない──真の敗因を直視せよ

もしあなたが、

「売上が伸びないのは、営業のセールストークが稚拙すぎるせいだ」
「ウチは低価格では勝負できない。これが顧客を逃している原因だろう」
「市場での技術力はイマイチ。だから、大きな成功を求めてはいけない」

──そう考えているのなら、
あなたの会社はすでに“負け組予備軍”に入っている。

いま、半導体マーケティングの現場で問われているのは、
そんな表面的な問題ではない。
真に問われているのは、
顧客との信頼関係を“商談の場で”築けるかどうかだ。

✔︎ 顧客が感じている不安を、商談中に解決できるか?
✔︎ 技術的な質問に、即座に答えられる体制があるか?
✔︎ 万が一の際、顧客がエンジニアと直接やり取りできるか?

にもかかわらず、多くの企業では、商談にエンジニアが同席していない。
営業がすべてを仕切り、技術者は“裏方”に追いやられているのが現実だ。

その結果、顧客が本当に求めている、
「専門的な答え」や「技術的な安心感」が提供されないまま、
商談は空振りに終わる。

本来であれば、ここで“前に出るべき存在”がいる。
だが、その者は舞台に立っていない──

✔︎ 技術者は製造ラインに閉じこもるだけの存在ではない
✔︎ 顧客の信頼を決定づける“最後の一手”は、営業ではなくエンジニアが持っている
✔︎ 技術者のひと言が、顧客の迷いを断ち切り、契約を決断させる

それでもなお、
なぜ多くの企業がこの“勝てるパターン”を見落としているのか?

その理由はひとつ──
「商談は営業の仕事」という昭和初期的な思い込みが、
いまだ業界に深く染みついているからだ。

なぜ、商談にエンジニアが必要なのか?

なぜ商談にエンジニアが必要なのか?──その理由は、もはや議論の余地がない。
顧客は“納得”しなければ動かない。これが、現代の商談の鉄則だ。

しかも今の顧客は、かつてよりもはるかに賢く、情報武装している。
商談に来る前に、Webで製品情報を徹底的に調べ、競合との比較も済ませている。
──つまり、商談は「最終ジャッジの場」になっている

そして彼らが最後に求めるのは、こういう問いへの答えだ──
「御社の製品、ウチの現場でも使えるでしょうか?」

この問いに、その場で答えられる人間は誰か?
それは営業ではない。現場を知り尽くした技術者だ。

本来であれば、その技術者が商談の場にいて当然のはずだ。
だが実際はどうか?

多くの商談で、姿が見えない。代わりに営業がこう答える。
「その点は技術に確認し、後日、報告します」──
その瞬間、顧客の温度は下がり、商談は失速する。

顧客の不安は膨らみ、会話のテンポは崩れ、商談の主導権は競合に奪われる。
これは、真剣勝負の商談に“弾の込められていない銃”で挑むようなものだ。

──そんな状態で勝てるはずがない。
この情報戦・信頼戦の最前線で戦い抜くには、営業だけでは力不足だ。
技術を知る者──エンジニアを、今すぐ戦場に向かわせろ。

エンジニアを「営業部隊」に組み込め

では、どうすればいいのか?──答えは、1つしかない。
エンジニアを商談の前線に出せ。

そしてもう1つ。
顧客と技術者が、“いつでも直接話ができる体制”を整えておけ。
具体的には、次のような仕組みを、今すぐ社内に実装せよ──

✔ 商談には、技術質問に即答できるエンジニアを必ず同席させる
✔ 商談後も、Zoomなどで技術相談ができる環境を提供する
✔ 顧客がエンジニアに直接連絡できる窓口(電話・メール)を用意する
✔必要に応じ、「○○業界専属エンジニア」を顧客ごとにアサインする

絶対に、これらを「人件費」と思ってはいけない。
これらは“コスト”ではない。未来への“投資”である。

顧客は、安心したいのだ──

✔ 半導体についての技術的な疑問が、すぐに解決できる
✔ 対応するのは、知識の浅い営業ではなく現場を知るプロ
✔ 契約後に“想定外”が起きても、相談できる相手がいる

これらの体制があるだけで、
あなたの会社に対する信頼度は一気に跳ね上がる。

信頼を積み上げれば、商談成功率が上がる。
商談成功率が上がれば、売上も自然とついてくる。

営業だけでは、「説明」止まりだ。
技術者がいて、はじめて「納得」が生まれる。

その「納得」こそが──
顧客を決断させることができる唯一の条件である。

話せる技術者が、会社の未来を変える

最後に、はっきりと断言しよう。

売れないのは、製品のせいではない。
技術力のせいでもない。
──顧客への伝え方を、間違えているだけだ。

営業と技術を分断している企業に、未来はない。
「話せる技術者」を育て、配置し、商談の前線に立たせよ。

今、製品を売っているのは、営業でも、スペック表でも、パンフレットでもない。
顧客が耳を傾けるのは、“現場を知り、技術質問をした際に即答できる者”だけだ。

今すぐ脱却せよ。
昭和の「営業中心モデル」から。

そして移行せよ。
“技術 × 社交性”という、令和の勝ち筋へ。

さあ、エンジニアを商談に出せ。
研究所で缶詰にしておく時代は、もう終わった。
彼らを、営業とともに、勝負の舞台に立たせろ。