直販できない半導体企業は、いずれ市場から淘汰される
もしあなたが、
「ウチは昔から商社経由でやってきた。今さら変える必要はない」
「直販なんて大手の話だ。資金力の劣る中堅・中小には無理だろう」
──そう思っているなら、その考えこそが会社の首を絞めている。
その“安心感”は、もはや思考停止だ。
その“商社依存思考”は、あなたの会社をゆっくりと、確実に殺している。
いま、世界の製造業企業は一斉に動いている。
「営業からマーケティングへ」──
これは単なる流行ではない。生き残りの必須条件である。
そんな中で、いまだに
「商社に売って終わり」
「お客の顔も知らずにモノだけ流す」
──この古いビジネスモデルを続けている企業に、未来などあるはずがない。
✔︎ 利益率は削られ続ける
✔︎ 顧客データ・市場動向は一切得られない
✔︎ 顧客の声も自社に入ってこない
──そんな状態で、次の製品戦略が立てられるのか?
ブランディングや、他社との差別化ができるのか?
相見積もりすらされない「選ばれる企業」になれるのか?
答えはNOだ。
直販で売れる仕組みを持たない半導体企業は、競争から脱落するしかない。
目次 [非表示]
商社依存の会社は、なぜいつまでも“儲からない”のか?
あなたの会社は、営業を“外注”している。
そのことの恐ろしさに、本当に気づいているだろうか?
たとえば、あなたの会社が何年もかけて開発した最新の半導体。
それが──
✔︎ どのような業界・業種で使われているのか?
✔︎ どんな悩みを持つ企業に支持されているのか?
✔︎ なぜ、競合企業ではなく自社が選ばれたのか?
……何もわからないまま、商社が受注を取っていく。
つまり、あなたの会社は、
“なぜ売れたのか”という勝因を一切把握できていないのだ。
戦略も、改善も、次の一手も打てるわけがない──
これは、敵の位置も味方の位置もわからないまま、戦場に放り出される兵士と同じだ。
さらに問題なのは、価格決定権すら自社にないことだ。
商社が値引きをし、「通常価格では売れない」という説明を繰り返す。
これではどれだけ技術を磨いても、最後は“安さ”で競うしかなくなる。
そして、それ以上に深刻なのは、“顧客との距離”である。
✔︎ 顧客から「感謝の声」が聞こえない
✔︎ 製品がどのように使われているかも、まったく見えてこない
✔︎ 製品・サービスのどこに改善点があるかの情報が入ってこない
──あなたの会社は、誰からも「ありがとう」と言われない会社になっていないか?
こうなると、技術者も営業も少しずつモチベーションを失っていく。
現場は疲弊し、経営は無感覚になり、会社はゆっくりと死んでいく。
「お客様の顔が見えない会社」に、未来はない。
断言する。これはもう、マーケティング云々の話ではない。
経営システムの根幹が腐りかけているサインだ。
テキサス・インスツルメンツは「商社を切って」
売上+4,271億円、利益+3,300億円を叩き出した
ここまで読んで、
「とはいえ現実的に無理だろう」と思ったあなたに、
現実の“勝ち組企業”の事例を紹介しよう。
2021年、世界的な半導体メーカー──
テキサス・インスツルメンツ(TI)は、商社経由の販売モデルを完全終了し、
直販体制への全面移行を実行した。
彼らがやったことは、たったこれだけだ──
✔︎ 自社ECサイトを整備し、オンラインで直接購入を可能にした
✔︎ 問い合わせ履歴・購買履歴など、顧客データを自社で管理するようにした
✔︎ SEOとコンテンツマーケティングで、顧客の方から接触できる体制を整えた
その結果──
たった1年で、売上+約4,271億円、営業利益+約3,300億円。
(1ドル=110円換算)
驚くべきは、この結果が「世界No.1の高技術製品を販売開始した」からでも、
「顧客から大絶賛されるサービス提供をスタートした」からでもないことだ。
やったのは、売り方の構造を変えただけ。
それで、これだけのインパクトが出た。
これは、大企業だけの話ではない。
資金力の劣る中小企業であっても──
✔︎ 自社の販売サイトをホームページだけで終わらせず、
✔︎ ターゲット業界・企業ごとのランディングページを作り、
✔︎ 動画での技術解説とメール配信システムだけを整えれば、
“直販型の仕組み”は十分に構築可能である。
🔍 ランディングページとは?
ホームページが「会社全体の情報が載った玄関」だとすれば、
ランディングページは「1製品・1ターゲットに絞った“受注専用の特設ページ”」である。
実際、国内でも、すでに2社の製造業企業がこのスタイルの一部を実行し、
問い合わせ数の増加(1社は従来の10倍、もう1社は20倍増)を実現している。
つまり、やるかやらないかの違いだけなのだ。
自社で営業網を持ち、“検索される会社”になるべきだ
いま、あなたの会社が真っ先に取り組むべき課題は、はっきりしている。
✔︎ 商社任せの営業から脱却せよ
✔︎ “誰に売っているのか”を、自分たちで把握せよ
✔︎ 問い合わせが自動で来る仕組み=マーケティング体制を整備せよ
最終的に目指すのは──「検索される会社」になることだ。
展示会や営業社員に依存しなくても、Googleで
「低消費電力 半導体 比較」
「真空チャンバー スパッタリング装置」
「フッ素樹脂 半導体製造装置」
と検索されたとき、あなたの会社の製品ページが表示される。
その記事を読んだ顧客企業の担当者がこう言ってくる。
「御社の製品、うちにぴったりです。詳細を教えてください」──と。
これこそが、
自社営業を“受け”から“攻め”に転換、利益率を改善し、
本当の意味で“売れる会社”へと進化する第一歩である。
最後に、ひとつだけ問いたい。
あなたの会社の営業は、今、誰の手の中にある?──
その状態で、5年後も生き残れると私に言い切れるか?