もしあなたが、
「営業が頑張れば、会社は自然に成長する」
「営業社員を増やせば、売上は右肩上がりになる」
「セールストークを磨けば、数字はついてくる」
──そう信じているのなら、今すぐその幻想を捨てろ。
その発想こそが、あなたの会社の未来を潰す“時代遅れの思考”だ。
なぜなら、その考えの根底には、
営業とマーケティングの違いを理解していないという、
重大な思い違いがあるからだ。
そして、その違いがわかっていない限り、
あなたの会社は永遠に“売り込む側”から抜け出せない。
売り込む側──
つまり、「必要性を感じていない顧客」に、こちらから必死にアプローチし、
関心の薄い相手に無理やりセールスを仕掛ける、
非効率で疲弊するやり方を続けることになるのだ。
当然、顧客の反応は鈍い。話も前に進まない。成約率は低い。
営業は疲弊し、時間ばかり浪費する。当然、売上も伸びない。
これは営業の責任ではない。
問題は、売れる前提条件である“マーケティング”が、
あなたの会社に存在していないことにある。
では、マーケティングとは何か?営業と何が違うのか?
──この問いに答えられない限り、あなたの会社はいつまでも、
「根性で契約を取ってくる営業社員」にすがり続けるしかない。
目次
マーケティングとは、「売り込みを不要にすること」である
あなたの会社では、マーケティングを
「展示会への出展」
「パンフレットの作成や配布」
「InstagramやYouTubeでの情報発信」
「TVCMを打つこと」
──そんなふうに捉えてはいないだろうか?
もしそうなら、大きな誤解をしている。
それらは確かに“マーケティング活動の一部”ではある。
しかし、いずれも「売るための手段」にすぎず、本質ではない。
では、マーケティングの本質とは何か?
それは、営業が売り込まなくても、顧客の方から
「それ、欲しい」と言ってくる状態をつくること。
この一点に尽きる。
営業とマーケティングは、目的も、役割も、タイミングもまったく異なる。
営業:今すぐに買う気・契約する気のある顧客に対して、クロージングを行う行為
マーケティング:将来買うかもしれない見込客を、“買う気”にさせる仕組みづくり
そして──
マーケティングが正しく機能していれば、
営業は“説得”という苦行をしなくて済む。
営業が話し始める前の段階で、
顧客の中にはすでに「これは必要だ」「これは自社に合っている」という
意識が芽生えている。営業は、その背中を軽く押すだけでいい。
これこそが、“売り込みを不要にする”マーケティングの正体である。
営業に「顧客教育」をさせてはならない
顧客は、あなたの製品/サービス、技術力に対して、
必要性を認識していない限り、契約することはない。
どれだけ営業が巧みに話そうが、
どれだけ提案書が洗練されていようが、
どれだけ共感スキルを駆使しようが──
顧客が“自分ごと”として感じていない限り、絶対に発注しない。
だからこそ必要なのが、マーケティングによる“問題教育”である。
✔️ なぜ、その製品・技術が必要なのか?
✔️ 他社と比べて、どこがどう違うのか?
✔️ それが顧客にどんな利益をもたらすのか?
この3つを、営業が訪問する前に“理解させておく”必要がある。
なぜなら、営業の役割は“教育”ではなく、
“購入意思を持った顧客を契約に導くこと”だからだ。
それなのに──
「なぜ必要なのか」から話し始め、
「他社との違い」を説明し、
最後にようやく「契約するための説得」に至る。
これでは、営業が “教える→説明する→説得する”という
三重苦を背負うことになる。結果どうなるか?
✔︎ 成約率が下がる
✔︎ 営業が疲弊する
✔︎ 離職者が増える
そして最終的に──あなたの会社の売上は下がる。
Appleは“売っていない”のに売れている
Appleの販売戦略を思い出してほしい。
彼らは年に一度、製品発表会でiPhoneなどの新商品を紹介する──
それだけだ。
「ぜひ買ってください」などとは、一言も言わない。
「今すぐ予約を!」なんて煽り文句も使わない。
にもかかわらず、発売日には全国のApple Storeに長蛇の列ができる。
顧客が自ら調べ、自ら並び、競って購入する。
なぜか?
それは、Appleがマーケティングによって、
顧客の頭と心に「欲しい理由」と「期待感」をしっかり刷り込んでいるからだ。
顧客はすでに、
「この製品は自分に必要だ」
「これを持てば生活や仕事がより良くなる」──そう確信している。
だから、Appleは売り込む必要がない。
「発売を告知して、見せるだけ」──それだけでも顧客は自ら買いに来る。
──では、日本の半導体企業はどうか?
・展示会に出展する
・ブースで製品説明をする
・技術資料を配る
・名刺を集める
たしかにマーケティングを“やっている感”はある。
だが、その活動には決定的に欠けているものがある。
それは、
「なぜその技術が必要なのか」という問題提起もなければ、
「それを使うと、顧客にどんな利益があるのか」という価値訴求もないことだ。
だから、こうなる──
✔︎ 名刺交換で終わる
✔︎ メールを送っても「検討します」で終わる
✔︎ 見積もり依頼すら来ない
✔︎ 新規案件が始まらない
✔︎ 売上が増えない
✔︎ 結果、新規事業の投資資金が捻出できない
✔︎ 捻出できなかった投資資金は銀行から借りる
✔︎ 銀行に利子を払い続け、経営の自由度がなくなる
✔︎ 当然、銀行に利子を払っていない競合には勝てない
──これが、マーケティング不在の半導体企業がハマっている
“負のスパイラル”である。
優秀な営業に依存する時代は、とっくに終わっている
もしあなたの会社の売上が、「あの営業社員の数字にかかっている」
──そんな状態だとしたら、それは明確な“経営構造の欠陥”である。
優秀な営業に依存している組織は、極めて脆い。
一人抜ければ売上が落ち、退職されれば事業が傾く。
それは、企業としての“仕組み”が整っていない何よりの証拠でもある。
では、マーケティングが正しく機能していればどうなるか?
✔︎ 顧客の方から問い合わせが来る
✔︎ 「営業資料ください」と言われる
✔︎ 商談はヒアリングと調整だけで終わる
✔︎ クロージングが圧倒的にラクになる
✔︎ 営業活動に対しての、心理的なハードルが下がる
✔︎ 断られることが減り、営業の離職率が下がる
✔︎ 属人的な営業力に頼らない“自走する体制”が作れる
つまり──
マーケティングとは、“影で売る営業社員”である。
そして、営業とは、“最後のひと押しをする人間”である。
この役割を混同している経営者は、
営業に顧客教育・説得・クロージングの三重苦を負わせ、
現場を疲弊させているにすぎない。
マーケティングと営業の役割を正しく理解し、明確に業務を分けよ。
それこそが、売上の安定と持続的成長を生み出す唯一の方法である。
営業とマーケティングの違いを理解しろ。そして、即座に役割を分離せよ
営業とマーケティングを混同している企業は、
「そもそも買う気がない」
「必要性をまったく感じていない」
──そんな相手にセールスをかけているに等しい。
これはまさに、
“セールスにおける化粧の重要性を知らないOLに、
5万円のシャネル口紅を売ろうとしている状態”だ。
売れるわけがない。
相手はまだ、「それが自分に必要だ」とすら気づいていないのだから。
だからこそ、まずはマーケティングで“気づかせる”ことが必要なのだ。
「これは自分に必要だ」と顧客が理解できるように──
必要性と納得感を持たせる“教育”を、先に仕掛けなければならない。
その状態ができて、初めて営業が活きる。
すでに欲しがっている顧客に対して、最後のひと押しをする──
それこそが営業の役割だ。
年商アップを実現したいなら、「マーケティングの定義」から見直せ。
「営業が頑張れば売れる」──そんな時代はもう終わっている。
今、売れている会社は営業で売っていない。
マーケティングで売っている。
つまり、「仕組み」で売っているのだ。
そのため、営業とマーケティングの役割を分離できない企業は、
この先、確実に競争から脱落する。
あなたの会社が、
この先も半導体市場で勝ち続けたいのであれば──
今すぐに、営業とマーケティングの違いを理解せよ。そして、体制を作り直せ。