もしあなたが──

「満足のいく売上を得るために、新製品・新サービスを開発しよう」
「相見積もりを避けるために、独自性の高い製品/サービスを作りたい」
「利益率を上げ、設備投資や新規開発のための資金を確保したい」

そう考えているのなら──
迷う必要は一切ない。今すぐに戦う相手を変えよ。
それが唯一にして、最も確実な解決策である。

あなたの会社が、どれほど優れた技術を持っていようが関係ない。
問題は──その技術を、どの価格帯で売っているかだ。

多くの中小半導体社長は、
「安くすれば売れる」「薄利多売が正解だ」
という“根拠なき思い込み”に支配されている。

結果どうなるか?
彼らは、競合がウジャウジャいる「低価格」「標準価格」の市場で、
値下げ合戦に明け暮れ、利益を奪い合う“消耗戦”に巻き込まれていく。

その価格競争の矢面に立たされているのは──他でもない“社長”だ。
ある地方の社長は、地域テレビ局の取材に対し、額の汗をぬぐいながらこう語る。

「弊社は“良いものを安く”提供することを信条にしてきました。
これまで多くの顧客企業の技術革新を支えてきたこと、地域経済を
下支えし、市民に愛される企業であることに誇りを感じています」

──立派な言葉だ。
だが現実には、受注を重ねるごとに、利益率は確実に削られていく。

しかし、多くの半導体社長は、その事実から目を背け、
「これが正しいビジネスの姿だ」と思い込んでいるのだ。
この構造的な問題を解決する方法は、たったひとつしかない。

「低価格」「標準価格」での販売から、
「高価格」「超高価格」へのポジショニングへとシフトせよ──
これ以外に、利益構造を根本から変える手段は存在しない。

“高く売る”ことが最大の差別化になる

利益率を上げたいと考えているあなたが、やるべきことは──
製品やサービスを変えることではない。価格を変えることだ。

価格を上げる──
たったそれだけで、市場の風景はガラリと変わる。

あなたが今いる「標準価格市場」から抜け出せば、
そこには、競合が1社も存在しない“超高価格市場”が広がっている。

そしてその市場には、
あなたの製品に高い価値を見出す顧客が、すでに待っているのだ。
何度でも言おう──そこには、競合はいない。

では、なぜ“超高価格市場”には、誰も参入していないのか?
理由は、いたって明快だ。

ほとんどの企業は、「標準価格」または「低価格」ゾーンにしか参入していない。
その背景には、多くの中小半導体企業の経営者が信じて疑わない、
「製品やサービスは、安くすれば売れる」という“根拠なき思い込み”がある。

さらに言えば、「高価格市場」ですら参入している企業はごくわずかだ。
そして、“超高価格市場”となると──もはや、参入企業は皆無に等しい。

なぜ、誰もその市場に踏み込もうとしないのか?
そこに入るには、“本気の覚悟”が求められるからだ。

✔︎ 通常の歩留まりをはるかに上回る品質が求められる
✔︎ 納品ミスは一切許されない
✔︎ 社長個人、社員、会社全体に対して、高いレベルの信頼性が要求される

ここは、技術力だけでは、到底戦えない領域だ。技術があるのは当たり前。
そのうえで、“信用”と“責任”をすべて背負える企業だけが生き残れる世界である。

──あなたの会社が、その市場に挑む価値は、まさにそこにある。
他社が恐れて足を踏み入れないからこそ、あなたは差別化できる。
他社が手を出さないからこそ、大きな売上と利益を手にできるのだ。

“超高価格製品”こそが、会社を守る最強の武器

半導体業界であれ、他業界であれ──
市場は価格帯によって、以下の4つに分類される。

1. 低価格市場
2. 標準価格市場
3. 高価格市場
4. 超高価格市場

このうち、企業の数が最も多いのは「標準価格市場」。
その次が「低価格市場」。
そして「高価格市場」には、わずかなプレイヤーしか存在しない。
「超高価格市場」にいたっては──ほぼゼロだ。

企業数が少ない市場ほど、競争は少ない。
競争が少なければ、価格は自社で決められる。
価格を決められれば、利益率は最大化できる。

──これが、ビジネスの原理原則である。

だが、この単純な構造を理解できていない社長や管理職、
マーケティング担当者が、日本にはあまりにも多すぎる。
だからこそ、彼らはいつまでたっても「価格競争」という泥沼から抜け出せない。

だが──あなたはもう理解したはずだ。
戦う市場を変えれば、競争は消える。そして、利益が残る。

実際、ある成功している中小企業はこう語っている。

「売上全体のうち、約20%が“超高価格製品”です。
 そこだけで、利益の半分以上を生み出しています」

売上の残り約80%は「高価格帯」の製品群で構成されている。
このバランスが、会社の利益構造を力強く支えているのだ。

“超高価格製品”は、ただの収益源ではない。
全体の利益率を押し上げ、
企業の収益体質を強化する中核的な役割を担っている。

言い換えれば──
この“超高価格製品”を持たない企業は、
いずれ価格競争の土俵に引きずり込まれてしまう。

利益が出ない。設備投資もできない。
開発資金も捻出できない。優秀な人材も確保できない。

──そうして会社は、「良いものを安く提供する」という美辞麗句のもと、
静かに、そして確実に、負のスパイラルへと陥っていくのだ。

あなたの会社を変えるのは、“価格”である

中小半導体企業の社長が、いま本当に知るべきこと。それは──
「どんな価格で、どの市場に挑むか」が、会社の未来を決めるという事実だ。

そして今、最も大きなチャンスが眠っているのは、
競合が一社も存在しない“超高価格市場”である。

安く売るな。高く売れ。
誰もいない場所で、誰よりも堂々と、高い値札を掲げよ。

「高く売る覚悟」が、“利益を生む体質”をつくる。
そして、競合がいない市場にこそ、圧倒的な利益を手にするチャンスがある。

もしあなたがこれまで、
「良いものを、できるだけ安く提供するのが正しいビジネス」
という思い込みに縛られていたのなら──今こそ、その考えを手放すときだ。

そうすれば、あなたの会社が立つ場所が変わる。
そしてその場所こそが、あなたの会社に大きな利益と
揺るぎない信頼をもたらす、最大の成長領域となる。

そうして手に入れた“ポジショニング”こそが──
中小半導体企業が市場で勝ち続けるための、
唯一無二のマーケティング戦略となるのだ。