もしあなたが──
「手間をかけて作った製品なのだから、どんな業界にも売れるはずだ」
「汎用性さえ高めれば、売上は自然に伸びる」
「顧客を絞るなんてナンセンス。ウチは“来るもの拒まず”が信条だ」

──そう思っているのなら、今すぐその考えをゴミ箱に捨てろ。

一見、理にかなっているようでいて、じつはその発想こそが、
あなたの会社を“選ばれない存在”にしている根本原因である。

なぜなら、“誰にでも売る”というスタンスは、言い換えれば、
誰の心にも響かないメッセージをばらまいているのと同じだからだ。

つまり──
相手の目には、「この会社、ウチ向けじゃないな」と映り、
その時点で候補から外される確率が一気に高まるということである。

顧客から選ばれたいのなら、まず“誰でもOK”の姿勢を捨てなければならない。
そして次にやるべきは──“売らない顧客”を戦略的に決めることである。

それこそが、「選ばれる会社」になるためのたった一つの道であり、
長年、“便利な部品屋”として埋もれてきたあなたの会社が、
そこから抜け出すための確かな出発点となる。

誰にでも売ろうとすると、誰にも選ばれなくなる

考えてみてほしい。
あなたの製品は、いったいどんな課題を、誰のために解決するものなのか?
そこが曖昧なままでは、どれだけ高性能でも、どれだけ多機能でも──売れない。

たとえば、こう説明していないだろうか?

「我が社の静電チャックは、エッチング装置にも、
 成膜装置にも、イオン注入装置にも対応できます」

──そう語った瞬間、相手の関心はスッと冷める。

なぜか?
相手が“これは自分のための話ではない”と感じてしまうからだ。
「ウチ向けじゃないな」と判断され、あっさり候補から外されてしまう。

つまり、「どの製品にも使える」というメッセージは、
一見便利そうに見えても、結局は誰の心にも響かない空虚な言葉にすぎない。

たとえるなら──
メニューが100種類ある定食屋で、「おすすめは?」と聞いたら、
「全部おすすめです!」と返ってくるようなもの。

ダイエット中の客からすれば、どれを選べばいいのかさっぱり分からない。
その結果、何も頼まずに、黙って別の店へと去っていく。

つまり──
相手の状況やニーズを理解しないまま、「何でもできます」と叫び続ける。
それこそが、あなたの営業が、何ヶ月も案件を取り逃している最大の理由なのだ。

イケアは“富裕層に売らない”ことを決めて成功した

たとえば──家具業界に革命を起こした IKEA(イケア) の戦略を見てみよう。
イケアは、「上質で高級な家具を買いたい富裕層」にはあえて売らないと決めた。

✔︎ 商品を選ぶのは客自身(販売員は付き添わない)
✔︎ 購入後の運搬も客が自分で行う
✔︎ 組み立てもすべてセルフサービス

こうした仕組みによって、イケアは「手間がかかっても安く手に入れたい」という
若年層や子育て世代のニーズに的を絞り、全リソースをその層に集中させた。

結果、どうなったか?
イケアは世界中で、“高級家具の対極”という唯一無二のポジションを独占するに至った。
「売る相手を選ぶ」と決めたからこそ、“誰かに強烈に選ばれる”ブランドになれたのだ。

そしてこの構図は、イケアに限らず──
BtoB、特に半導体業界においても、まったく同じ原理が当てはまる。

一点集中のニッチ戦略こそ、脱・部品屋の最短ルートだ

「できるだけ多くの顧客に売りたい」と思う気持ちは理解できる。
だが、その発想こそが、あなたの会社を“その他大勢”に埋もれさせている原因だ。

いまやるべきことは、「すべての顧客に売る」という姿勢を手放し、
あえて“売らない顧客”を明確に定めることである。

たとえば──
・医療系・産業機器に特化した半導体設計サービスに絞る
・競争の激しい高周波電源市場は捨て、低周波に全振りする
・成膜・イオン注入装置向けから撤退し、エッチング装置専用の静電チャックに集中する

──戦略は何でも構わない。だが、ここで重要なのは次の一点だ。

「誰に売らないか」を意図的に決めた企業だけが、
市場の中で“唯一無二”のポジションを手に入れることができる。

そして、そのポジションを築いた企業だけが、
価格競争に巻き込まれず、「価値」で勝てる土俵に立てるのだ。

だからこそ、最後に問う。

あなたは──
これからも、規模の大きな顧客企業から
都合のいい“部品屋”として扱われる側に甘んじるのか?

それとも──
「誰に売るか」だけでなく、「誰に売らないか」までも戦略として明確に定め、
唯一無二のポジションを築いた結果、選ばれる企業へと生まれ変わるのか?

その決断こそが、
あなたの会社の未来を分ける、決定的な分岐点となる。