もしあなたが──

「競合は多い。でも、地道な改善を続けていれば、いつか1番になれる」
「競合と違う製品を出すなんて、逃げに見える。真正面から同じ製品で勝負すべきだ」
「業界仲間から変に思われたくない。だから競合と同じことをやり続けよう」

──そう考えているのなら、今すぐこのページを閉じてほしい。
そんな思考で走り続けても、あなたの会社が突き抜ける日は永遠に来ない。

現実を見よ。
市場が急速に変化している中で、昔と同じ方針を貫いていても、勝てるはずがない。
そして、いつまでもその事実から目を背けている場合ではない。

結論から言おう。
割に合わない仕事をあえてやれ。そこにしか、大きなチャンスはない。

多くの社長は、こう考える──
「高付加価値の製品を作ろう」
「大口顧客を狙おう」
「効率よく利益を出そう」

──その発想自体は、確かに正しい。
だが、同じことを考えているのは、あなただけではない。 
今や、その“勝ち筋”を狙って動いているのは、競合各社も同じだ。 

つまり、そこは完全なる「激戦区」だ。
技術力や営業力を発揮する以前に、
そもそもあなたが選んだ“勝負の場所”が間違っている。

では、どうすればいいのか?

いまの延長線上で戦っても、結果は何も変わらない。
発想を変え、戦う場所そのものを変える必要がある。

誰もやりたがらない仕事を、あなたが先に引き受けろ。
それが、“割に合わない仕事”に取り組むということだ。

そう──
競合が逃げ出したその領域こそ、あなたが市場で主導権を握れる、
たった一つのフィールドなのである。

“割に合わない仕事”が、小さな法律事務所を勝者に変えた

たとえば、ある地方の小さな弁護士事務所──仮に「A法律事務所」としよう。
彼らが取り扱ったのは、「残業代未払い請求」だった。

1件あたりの報酬はわずか。書類は多く、対応も面倒。
多くの弁護士が「割に合わない」と判断し、避けてきた案件だ。

A法律事務所も、最初は他の事務所と同じく、
「過払い金請求」で勝負しようとしていた。
そのほうが効率的に売上を上げられると考えたからだ。

だが、そこには
アディーレ法律事務所やベリーベスト法律事務所といった、
マンモス級の巨大プレイヤーが立ちはだかっていた。

彼らは、莫大な広告予算を投じ、
圧倒的な知名度と営業網をすでに築き上げている。
そんな相手に、正面からぶつかっても──勝ち目はなかった。

そこで彼らは、覚悟を決めた。
「大手がやらないことを、徹底的にやろう」──
そう考え、自らの戦略を大きく転換したのだ。

そしてその決断を下した瞬間から、
A法律事務所は「残業代未払い請求」を主軸に据え、
本格的な取り組みを始めた。

コツコツと顧客を集め、知見と実績を積み重ね、
気づけばその分野で“第一想起される存在”へと成り上がっていた。

いまや、
「残業代請求といえばA法律事務所」──
その地位を確固たるものにしている。

半導体業界にも、“誰もやらない仕事”は山ほどある

A法律事務所のように──
競合が見向きもしない“割に合わない領域”を攻めることで、
中小企業でも圧倒的なポジションを築くことは可能だ。

これは、弁護士だけの話ではない。
あなたの会社でも、同じ戦い方ができる。

✔︎ 小ロット案件(効率が悪く、割に合わない)
✔︎ レガシー製品の技術サポート(古くて儲からない。誰もやりたがらない)
✔︎ 従業員30人未満の企業が対象、後払い容認制度(リスクが高く、回収も不安定)
✔︎ 超短納期対応(突発的な依頼で、工数ばかりかかる)

一見、避けたくなるようなこれらの案件こそ、
実は「顧客が本当に困っている」領域だ。
そして今、競合の多くは──そこから目を背けている。

だからこそ、あなたが手を挙げれば、独占できる。
信頼される。指名される。価格の主導権を握れるようになる。

必要なのは──戦い方を変えることだ。
技術力で勝てないなら、「対応力」で勝て。
資本力で勝てないなら、「見せ方」を工夫せよ。

たとえば──

✔︎ 小ロット対応を、「近畿地方初!1個からOK」という形で強みに変える
✔︎ 「24時間365日対応の技術サポート窓口」として打ち出し、安心感を伝える
✔︎ レガシー製品を大切に扱う姿勢を動画にして、「会社の信念」として発信する

一見“割に合わない仕事”こそが、あなたの会社を際立たせる最大の武器になる。
それは、他社が手を出さないからこそ、あなただけが提供できる価値だ。
そしてその価値こそが──あなたの会社が存在する意味にほかならない。

競合が手を出さない“未開の市場”に、勝機がある

「とはいえ、そんなことをやっている余裕はない」
「もっと効率の良い仕事に集中したい」
「半導体企業は、技術力で勝負すべきだ」
──あなたがそう考える気持ちは、痛いほどわかる。

だが、それを理由に“割に合わない仕事”から目を背けている限り、
あなたはこれからも、競合と同じ道を歩み続けることになる。

あなたの会社がいま、次のフェーズに進めない理由は──
技術が劣っているからでも、営業努力が足りないからでもない。
「他社がやりたがらないことを、あなたもやっていない」──それだけの話だ。

他社が避ける道を、あえて選べ。
競合が嫌がる仕事を、あなたが引き受けろ。
その先には、大きな投資をせずとも勝負できる、“手つかずの市場”が眠っている。

まずは、紙に書き出してみてほしい。

これまで「効率が悪い」「手間が多い」といった理由で後回しにしてきた仕事、  
そして、顧客からの要望がありながら対応を避けてきた案件──  
そうしたものを一つ残らず洗い出してみよう。

「どう考えても手間が多い」「リスクが高そうだ」「面倒くさそう」──
そんな仕事の中にこそ、あなたが見過ごしてきた大きなチャンスが眠っている。

書き出せたら、それで終わりにしてはならない。
リストの中から、まず一つを選び、実際に手をつけてみよう。

まずは取り組んで、形にし、継続できる仕組みへと育てていく。  
その積み重ねが、やがてあなたの会社の「新たな強み」になっていく。

最後に、はっきりと言う。
勝者のポジションは、最初に挑戦した者だけが手にできる。
その場所は、まぎれもなく──他社が逃げた、その先にある。