もしあなたが──
「カタログには、自社すべての製品やサービスを掲載すべきだ」
「掲載する製品が多ければ多いほど、売上は増えるはずだ」
「1冊にまとめることで、印刷コストも削減できて合理的だ」
そう信じているのなら、今すぐその考えを捨てよ。
あなたの会社のカタログは、ただの“分厚い資料”になってはいないだろうか?
1冊に5製品、10サービスを、まるで“在庫処分”のように詰め込んではいないだろうか?
顧客の目には、それは“配慮”ではなく“選びづらさ”として映っている。
ページをめくるたびに、“混乱”と“無関心”が積み重なっていくだけだ。
──それはもう、カタログではない。“辞書”である。
いや、もっと正確に言おう。
「誰にも選ばれないことを前提に作られた、自己満足の販促物」でしかない。
そこに“伝える意志”はあっても、“買わせる設計”はない。
言い換えれば、あなたのカタログは最初から負けるために作られているのだ。
「全部見せれば売れる」は、最悪の戦略だ
多くの半導体社長は、こう考えている。
「せっかくだから、すべての製品やサービスを載せておこう」
「掲載数が多いほうが、取引先に信頼されるはずだ」
「今は必要なくても、とりあえず載せておけば、
いつか必要になったときに思い出してくれるだろう」
──完全に間違っている。
顧客は、あなたが製造・販売している全製品・全サービスに関心があるわけではない。
今この瞬間、調達担当者が求めているのは「エッチング装置」ただ一つかもしれない。
にもかかわらず、あなたのカタログには、
イオン注入装置やウエハー検査装置、露光装置までが一緒くたに並んでいる。
まるで、寿司を食べたくて回転寿司に来た客の目の前に、
「うな重」「クレープ」「とんかつ定食」が次々と流れてくるようなものだ。
──結果、こうなる。
・必要な情報が見つからない
・ページをめくるたびに集中力が削がれる
・探していた製品についての情報は、ほんの1ページしかない
・最終的に、必要な情報だけを的確に見せた競合に顧客を奪われる
もう一度、はっきりと言おう。
カタログは「製品・サービス情報を伝えるだけの道具」ではない。
それは、顧客の意思決定を後押しする“営業戦略の武器”でなければならない。
「1カタログ=1製品」これが勝てる企業の絶対ルールだ
結論から言おう。
1カタログ = 1製品。
これが、製造業マーケティングにおける“常識”だ。
想像してみてほしい。
あなたの会社が──
・エッチング装置
・イオン注入装置
・ウエハー検査装置
この3つを販売しているとしよう。
その場合、必要なのは3冊のカタログである。
1製品につき、1冊。
それ以外に成果を出す方法は存在しない。
カタログ1冊に複数の製品を詰め込むなど、顧客視点を1ミリも理解していない証拠だ。
それはつまり、「買ってもらう気がない」と受け取られても仕方がない行為である。
では、なぜ1製品に絞るべきなのか?
その理由は、至ってシンプルだ。
✔︎ ターゲットごとに、伝えるべき情報を最適化できる
✔︎ 顧客の課題と自社の技術がどう結びつくのか、その流れを1本のストーリーで示せる
✔︎ 製品の強みや導入メリットを、より深く・濃密に伝えられる
たとえば、調達担当者が「ウエハー検査装置」を探しているとしよう。
そのとき、彼らが求めているのは、
その製品の特徴・性能・価格・メリット・導入事例・保証といった、
意思決定に必要な情報だけである。
そこに「ついでの情報」は不要だ。
いや、むしろ──邪魔でしかない。
「全部載せ」は“未熟な経営者”の証明である
99%の半導体社長は、「1カタログ=1製品」の原則を理解していない。
だから今も、“辞書”のようなパンフレットをせっせと配り続けている。
あなたのカタログは──
「営業がとりあえず配る紙」で終わってはならない。
それは、顧客の意思決定を後押しする“営業戦略の武器”でなければならないのだ。
勝っている企業のカタログには、決定的な違いがある。
選ばれる企業は、ただ製品情報を羅列しているわけではない。
必要な情報だけを選び抜き、それを深く・的確に伝えている。
だからこそ、あなたも動け。迷っている時間はない。
やるべきことは、この3つだ。
✔︎ 「できるだけ多く載せる」発想を捨てよ。
✔︎ 「1カタログ1製品」を徹底せよ。
✔︎ カタログを、「即断・即決を引き出す営業ツール」として再設計せよ。
この3つを今すぐ実行に移せ。
タイミングを逃せば、次もまた競合に負けるだけだ。
そして、忘れてはならない。
「どれだけ多くを伝えるか」ではなく、
「どれだけ深く、必要なことだけを伝えられるか」が、売上を左右する時代なのだ。
最後に、もう一度、はっきりと言う。
カタログに、すべての製品・サービス情報を詰め込むのは、今すぐやめよ。
それは、自社の価値を“ぼかす”行為であり、顧客の決断を妨げる毒である。
これこそが──
競争の激しい半導体市場で、あなたの会社が勝ち続ける
唯一にして、最強のマーケティング戦略である。