もしあなたが──
「2nmの量産ができれば、世界が驚き、ラピダスは成功する」
「最先端技術があれば、そのうち誰かが買ってくれる。経営は安泰だ」
「今のラピダスは実績がないだけ。いずれ顧客は自然と増えていく」
──そう信じているのなら、今すぐこのページを閉じた方がいい。
なぜなら、それは“現実から目を背ける”ための、都合のいい解釈にすぎないからだ。
現実を直視せよ。
ラピダスは、世界でもっとも高度な技術が要求される──
2nmプロセスの試作に、すでに成功している。
にもかかわらず、2025年11月時点でラピダスに生産委託を
表明しているのはAI半導体設計のテンストレント1社のみ。1
いまだ“選ばれるブランド”にはなっていない。
TSMC、インテル、サムスン──
競合たちには、世界が認めたブランドと実績がある。
だが、ラピダスにはそれが決定的に欠けているのだ。
では、信頼も実績もゼロのラピダスが──
どうすれば、顧客に「選ばれる存在」になれるのか?
どうすれば、世界の2nm需要を“自社に引き寄せる側”に回れるのか?
答えはひとつだけだ。
法人向けPC製造メーカーに、“勝てる提案”として2nmを売り込め──
今のラピダスが、顧客を獲得するためにとれる、ただ一つの現実的な戦略がこれだ。関連記事1:“成果報酬型CM”で挽回せよ!ラピダスが顧客獲得のためにすべきたった1つのこと関連記事2:原因は“戦略の未熟さ”にあり──ラピダスが顧客獲得に苦しむ最大の理由
目次
ラピダス苦戦の理由──売る相手を決めずに走り出した罪
社長であるあなたをはじめ、あなたの会社の管理職、社員──
もしかすると、こんな風に考えてはいないか?
「2nmって響きがカッコいい。放っておいても売れるだろう」
「マーケティング?そんなの、技術力があれば必要ない」
「とにかく製造までたどり着けば勝ち。あとは営業がなんとかするはず」
そのような考えでは──
あなたの会社も、ラピダスと同じ轍を踏むことになる。
「誰に売るのか」も決めずに製品を製造するなんて、
目的地も決めずに、全速力で走り出すようなものだ。
確かに、ラピダスには2nmという最先端の技術はある。
だが、それを“誰に・何の用途で・どう使わせるか”を考えていなければ──
どれだけ優れた技術でも、ただの自己満足で終わる。
技術はつくった“だけ”では意味がない。
市場に届け、選ばれ、使われて、はじめて“お金”になる。
だからこそ──2nmを“誰に”売るのか?
それを決めることが、すべての出発点になる。
法人向けPCメーカーを狙え。そこが金脈だ。
ラピダスが狙うべきは、法人向けPC市場──。
ここは、今なお安定した需要が存在する、数少ない“攻めどころ”だ。
ラピダスの営業リソースは、この市場に一点集中させるべきだ。
なぜなら、法人向けPC市場こそが、最も再現性の高い勝ち筋だからである。
✔︎ 法人向けPCは、国内市場だけでも年間794万台の規模を誇る(2024年度/MM総研調べ)2
✔︎ 2030年まで、この需要は年間700万台を下回らないと予測されている
✔︎ 世界市場を見渡せば、数千万台規模の導入需要が継続的に発生している
これほどまでに大きな市場であるにもかかわらず、
特定のプレイヤーが“決定的な立ち位置”を築けていないのが現状だ。
だからこそ、今すぐ仕掛けた企業が市場を取れる。
ここで重要なのは、
「うちの2nm、ぜひお使いください」と頭を下げてお願いすることではない。
それは営業ではない。ただの“懇願”である。
企業は“お願い”では動かない。
だが──“儲かる戦略”には、必ず反応する。
だからこそ、やるべきことは明確だ。
PCメーカーに、利益につながる道筋を“具体的な提案”として示せ。
ステップ1:2nmを使った「法人向け超格安PC」を提案せよ
✔︎ 必要なのは、ワード・エクセル・パワポ・ネット閲覧が快適に動く最低限のスペック
✔︎ それ以外の機能は全て捨てさせろ。だからこそ、コストを従来の半額ほどに下げられる
✔︎ 法人は数十~数百台単位で導入する。価格の安さこそ、メーカーの最大の競争力となる
ステップ2:PCメーカーに“勝ち筋”を教えよ
✔︎「もう、過剰スペックは時代遅れ」──そう伝えて、彼らの常識を塗り替えろ
✔︎ “最低限で十分なPC”こそが、新たな差別化になることを教育せよ
✔︎ ラピダスの2nmなら、職場利用レベルのAIツールなら安定動作すると伝えよ
✔︎ そして何より──この法人向けPCの低価格市場には、目立った競合が存在しない
つまり──ラピダスが売るべきなのは、“2nmのチップ”ではない。
PCメーカーにとっての、「確実に勝てる製品コンセプト」そのものである。
ラピダスよ、“マーケティング音痴”から卒業せよ
ラピダスが顧客を獲得するために取るべき戦略は──
法人向けPC市場に絞った“一点集中型”の戦略。これ以外に現実的な選択肢はない。
にもかかわらず、戦略を持たず、営業力だけで2nmを売ろうとするのは──
目的地を知らず、地図も持たずに、いきなり走り出すようなものだ。
そのままでは、いずれ行き詰まる。今この瞬間から、発想を切り替えよ。
✔︎ 2nmを製造する前に、「誰に・何を・どのように伝えるか」を明確にせよ
✔︎ 技術資料ではなく、「御社にとってどんなメリットがあるのか」を語れ
✔︎ 法人PCメーカーの“ビジネスモデル”の中に、2nmをどう組み込むかを考えよ
──これこそが、マーケティング思考の第一歩である。
「技術力さえあれば売れる」──その考え方は、もはや通用しない。
「営業がなんとかしてくれる」──そんな期待は、現場任せの責任放棄にすぎない。
今、半導体企業に求められているのは、
顧客のビジネスにそのまま組み込めるような、
実用的で筋の通った提案を構想し、提示できる力である。
ラピダスよ──
マーケティングを学べ。戦略を持て。そして、顧客の成功に貢献せよ。
顧客の成功こそが、ラピダスの勝利へとつながる。
顧客が成果を出せない技術に、最先端のラベルを貼ったところで、
それは結局、“誰にも必要とされない製品”でしかない。
技術は、実際に顧客の手で使われ、顧客が成果を生んではじめて価値が生まれる。
それができなければ、2nmはただの──「高性能な産業廃棄物」で終わってしまう。
だからこそ、あなたに問いたい。
あなたの会社は、「顧客の勝利」を起点に戦略を描いているか?
もし描いていないのなら、あなたの技術は、まだ市場で戦う準備ができていない。
その事実に、いち早く気づいた企業だけが、次のフェーズへ進める。
マーケティング思考を手にした者だけが、この市場を支配できる。
そして未来を切り拓けるかどうかは──社長であるあなたの決断にかかっている。関連記事1:“成果報酬型CM”で挽回せよ!ラピダスが顧客獲得のためにすべきたった1つのこと関連記事2:原因は“戦略の未熟さ”にあり──ラピダスが顧客獲得に苦しむ最大の理由
- 参考:日本経済新聞:ラピダスが挑む半導体1.4ナノの壁、歩留まり向上なら顧客開拓に追い風
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC254RF0V21C25A1000000/
↩︎ - 参考:日本経済新聞:AI対応のPC、法人向けは30年度620万台に MM総研予想
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0169J0R00C24A7000000/#:~:text=%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AEMM%E7%B7%8F%E7%A0%94,%E3%81%A8%E5%88%86%E6%9E%90%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82 ↩︎