近年、IoT、AI、5Gなど、テクノロジーの進化は目覚ましく、私たちの生活様式は大きく変化しています。この変化を牽引しているのが、高度な処理能力と低消費電力性能を兼ね備えた半導体技術です。特に、特定の用途に最適化された集積回路であるカスタムSoC(ASIC)は、その高い機能性と柔軟性から、様々な分野で注目を集めています。

半導体デバイス企業にとって、カスタムSoC案件は、高付加価値なビジネスチャンスであり、売上アップに大きく貢献する可能性を秘めています。しかし、競合他社との差別化、顧客との信頼関係構築、開発・製造における技術力など、多くの課題を克服する必要があるのです。

この記事では、半導体デバイス企業がカスタムSoC案件を受注し、売上アップを実現するために必要なノウハウを、具体的な事例と最新トレンドを交えながら解説していきます。

1.カスタムSoC 受注獲得のための3つの戦略

カスタムSoC(ASIC)案件を受注するためには、まず、自社の強みと半導体ユーザー企業である顧客のニーズを理解した上で、明確な戦略を策定することが重要です。

(1)ターゲット顧客の明確化

顧客は、特定の業界や用途に特化している場合がほとんどです。例えば、自動車業界であれば、自動運転システム向けSoC、医療機器業界であれば、画像診断装置向けSoC、通信業界であれば、5G基地局向けSoCなどが考えられます。

ターゲット顧客を絞り込むことで、顧客ニーズをより深く理解し、適切なソリューションを提供することができます。

具体的な例として、医療機器向けSoCを専門とする企業であれば、医療機器メーカーが抱える課題や要求を詳細に調査し、そのニーズに最適なSoC設計、製造、サポートを提供する体制が整っていることを自社ウェブサイトなどでアピールすることが重要となります。

例えば、

自動車業界の半導体ユーザー企業だけを対象とした自社ウェブサイト…
医療機器業界の半導体ユーザー企業だけを対象とした自社ウェブサイト…
エレクトロニクス業界の半導体ユーザー企業だけを対象とした自社ウェブサイト…

といったように、それぞれの業界ごとにカスタマイズしたウェブサイトを1つずつ作るといった工夫が必要なのです。

(2)競合分析と差別化戦略

競合他社が提供しているサービスや半導体製品を分析し、自社の強みと弱みを明確にする必要があります。競合他社との差別化を図るためには、以下の4点が重要です。

①技術力: 特定のアーキテクチャ、製造プロセス、設計ツールなどの技術で優位性を築く

例えば、先端のFinFET技術を用いたSoC設計、独自の低消費電力アーキテクチャの開発、AI推論に特化したアクセラレータの設計など、競合他社が追随できない技術力を持つことも戦略の1つです。

②開発力: 顧客の要求を満たすための迅速な開発体制と柔軟な対応力を持つ

最新の設計ツールや開発プロセスを導入することで、開発期間短縮と高品質な製品開発を実現できます。また、顧客の仕様変更要求にも柔軟に対応できる体制を構築し、自社自慢のサービスとしてアピールするのも良いでしょう。

③顧客サポート: 設計段階から量産、アフターサービスまで、顧客に寄り添ったサポート体制を提供する

顧客との密なコミュニケーションを図り、設計段階からの技術サポートや量産後のトラブルシューティングなど、包括的なサポート体制を提供することで、顧客満足度を高め、長期的なパートナーシップを構築することができます。

④価格競争力: 顧客の予算に合わせて、最適な価格設定を行う

製造コストの削減や効率的な開発プロセスにより、競合他社よりも魅力的な価格設定を実現することで、顧客の獲得に繋げることができます。価格を下げることができない場合は、トラブル時の対応や返金保証などのサポート体制の充実ぶりをアピールしましょう。

(3)マーケティング戦略

ターゲット顧客に対して、自社の技術力、開発力、顧客サポートなどを効果的にアピールする必要があります。マーケティング戦略として、以下の施策が考えられます。

ウェブサイト: 自社の技術や実績、サービス内容などを分かりやすく紹介する

ウェブサイトは、顧客が最初にアクセスする重要な情報源となります。企業の強みや提供サービス、成功事例などを分かりやすく掲載し、顧客の関心を引き付け、問い合わせに繋げる必要があるのです。

展示会: カスタムSoCの技術や製品を展示し、顧客との接点を増やす

展示会では、自社の技術力や製品を直接顧客にアピールすることができます。デモや試作品展示を通じて、顧客に具体的なイメージを伝えることで、興味関心を高めることができるのです。

セミナー: テクノロジートレンドやカスタムSoC開発事例などを紹介する

セミナーを通じて、顧客に最新技術や開発動向に関する情報を提供することで、自社の専門性と信頼性をアピールすることができます。具体的な開発事例の紹介は、自社の半導体が顧客の課題の解決へとつながることを明確に示すことができるのです。

コンテンツマーケティング: ウェブサイトやブログで、顧客が求める情報を提供する

ブログやホワイトペーパーなどのコンテンツを通じて、顧客の関心に合致する有益な情報を提供することで、自社の認知度向上と顧客とのエンゲージメントを高めることができます。インターネット広告を使い、顧客が求める情報を提供する方法は、成功可能性が高いので、officeじょにが最もオススメする方法です。

ソーシャルメディア: 最新情報や技術動向を積極的に発信する

ソーシャルメディアを通じて、最新技術情報や開発動向、イベント情報などを発信することで、顧客とのコミュニケーションを強化し、自社の認知度や存在感を高めることができます。

しかし、YouTubeやTikTokなどで、一般大衆に喜んでもらうことを目的とした動画(バズ動画)を投稿するといった行為は、集客の難易度が高く、また、再現性も低いため手を出してはならない施策です。

また、FacebookやX(旧Twitter)に投稿を続けるといった行為も、顧客獲得の難易度が高くなるため(無料のためライバルが多くなる。成功したとしても多くの時間を無駄にしてしまう)採用してはならない施策となります。

2.カスタムSoC案件における成功事例

カスタムSoC案件は、半導体デバイス企業の競争優位性を高め、新たなビジネスチャンスを生み出す大きな可能性を秘めています。以下に、具体的な成功事例を紹介します。

(1)自動運転システム向けSoC

自動車業界では、自動運転システムの開発が進んでいます。このシステムには、高性能な画像処理、センシング、制御機能を備えたSoCが求められます。

ある半導体デバイス企業は、自動車メーカーとの連携により、自動運転システム専用のSoCを開発しました。このSoCは、高性能な画像処理能力と低消費電力性能を兼ね備えており、自動運転システムの精度向上に大きく貢献しています。

成功ポイント: 高性能な画像処理能力と低消費電力性能を両立させた技術力や、自動車メーカーとの緊密な連携による顧客(自動車メーカー)ニーズの理解。

今後の展開: 自動運転システムの普及に伴い、SoCの更なる高性能化と機能拡張が求められているため、半導体デバイス企業には大きなビジネスチャンスがある。

(2)医療機器向けSoC

医療機器業界では、画像診断装置、遺伝子検査装置など、高度な処理能力と信頼性を要求される機器が増えています。

ある半導体デバイス企業は、医療機器メーカーとの共同開発により、医療画像処理に特化したSoCを開発しました。このSoCは、高画質で高速な画像処理を実現しており、医療診断の精度向上に貢献しています。

成功ポイント: 高画質で高速な画像処理を実現する技術力や、医療機器メーカーとの共同開発による顧客(医療機器メーカー)ニーズの深い理解。

今後の展開: 先進各国による高齢社会の到来に伴い、性能の高い医療機器の需要はこれまで以上に高まり続ける。そのため、半導体デバイス企業には大きなビジネスチャンスがある。

(3)AI 推論向けSoC

近年、AI技術の進歩に伴い、AI推論処理を高速に行うためのSoCの需要が高まっています。

ある半導体デバイス企業は、AI推論に特化した専用SoCを開発し、画像認識、音声認識、自然言語処理などの分野で高い評価を得ています。このSoCは、従来の汎用プロセッサに比べて、推論処理を高速に行うことができ、消費電力も低いため、様々なAIアプリケーションに最適です。

成功ポイント: AI推論処理に特化したアーキテクチャ設計技術や、高性能で低消費電力のSoC設計技術。

今後の展開: AI技術の進化に伴い、更なる高性能化と多様なAIアプリケーションへの対応が期待されている。

3.カスタムSoCの新たなビジネスチャンス

今後も、IoT、AI、5Gなどの技術革新により、カスタムSoCの需要はますます高まると予想されています。

汎用の半導体とは違い、価格を高く設定でき在庫も抱える必要がないことから、今後は、カスタムSoCの設計・開発・製造案件を受注できる半導体デバイス企業が、売上アップ・事業拡大を実現していくことができるのは間違いないでしょう。

カスタムSoC案件の受注を狙うべき4つの業界

(1)自動車分野
自動運転、ADAS (先進運転支援システム)、車載インフォテインメントシステムなど、自動車業界はカスタムSoCの主要な市場となっています。

(2)医療分野
医療画像処理、遺伝子解析、ウェアラブル医療機器など、医療分野では、高性能で信頼性の高いカスタムSoCが求められています。

(3)通信分野
5G、IoT、データセンターなど、通信分野では、高速処理能力と低消費電力性能を兼ね備えたカスタムSoCが不可欠です。

(4)産業機器分野
ファクトリーオートメーション、ロボット制御、エネルギー管理など、産業機器分野では、高精度で堅牢なカスタムSoCが求められています。

ちなみに、日立製作所で専務取締役、ソニーで執行役員専務を務めた経験のある牧本次生さんは、著書『日本半導体復権への道』にて、今後、日本の半導体デバイス企業はロボット半導体に注力すべきという意見を掲載しています。

4. まとめ

カスタムSoC案件は、30年以上の長い停滞が続く日本の半導体デバイス企業にとって、大きなビジネスチャンスです。

顧客ニーズを理解した戦略策定、顧客との連携強化、技術力向上など、多くの課題の克服が必要となりますが、汎用の半導体よりも高い価格設定ができ、在庫を抱える必要もないことから、日本の半導体デバイス企業にとっての起爆剤となることは間違いありません。

今回の記事で紹介したノウハウを参考に、あなたの企業もカスタムSoC案件で成功して、売上アップ・事業拡大を実現してください。

半導体マーケティング代行サービス officeじょに
代表 田中レジナルド

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