あなたの企業は自社に最適なマーケティングが導入できていますか?実際、多くの半導体企業は、長年にわたり成功を収めてきた従来の営業手法に固執しているため、デジタル化の波に乗り遅れ、日本だけでなくグローバルでの競争力を失い続けているのが現状です。
半導体のユーザー企業である顧客の情報探索活動もオンラインが使われることも多くなっており、今やインターネットで半導体各企業の情報を集め、半導体各企業が提供するサービス・価格の比較検討を行うのが一般的となりつつあります。これに対応するためには、自社の営業活動そのものをデジタル化し、効率的に見込客とつながることが重要です。
そこで、デジタルマーケティング(営業DX)という強力なツールが登場します。デジタルマーケティングを活用することで、従来の対面営業や展示会に頼るだけでなく、より多くの半導体ユーザー企業にアプローチし、効率的に見込客を獲得することが可能となるのです。
しかし、いきなり営業のデジタル化を進めるといっても、どこから手をつけて良いか悩む方も多いでしょう。そこで今回は、デジタルマーケティングを導入し、営業DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるための基本的なステップについて、具体的に解説していきます。このガイドを通じて、デジタル時代のマーケティングにおいて成果を上げるための道筋をしっかりと掴んでいただけることでしょう。
目次
デジタルマーケティング(営業DX)とは?
デジタルマーケティングとは、インターネットを通じてあなたの企業の半導体やサービスを宣伝することで、事業拡大(売上アップ)やコストカットを実現するための活動のことです。
デジタルマーケティングの利点は、リアルタイムでデータを収集し、半導体のユーザー企業であるターゲット顧客の行動やニーズに応じて、細かな調整ができる点にあります。
たとえば、企業がホームページを運営している場合、訪問者のアクセス履歴やどのページにどれだけの時間を費やしたかなど、詳細なデータを即座に確認することができます。これにより半導体のユーザー企業が、自社のどのような半導体・どのようなサービスに興味があるのかが把握でき、そのデータを元に新たな半導体サービスの開発ができるのです。
また、デジタルマーケティングの利点は、費用対効果が高い点にもあります。
特に半導体業界のように、特定のエレクトロニクス企業やロボット会社をターゲットにした場合、電子デバイス産業新聞のような紙の広告媒体や、展示会といった伝統的なマーケティング手法では、数多くの顧客にアプローチするのに多大なコストが必要となります。
対して、デジタル広告では、自社で広告の配信地域や予算を設定できるため、少ない予算でもターゲット層に的確にアプローチすることができます。そのため、テレビCMなどとは違い、より低価格でより効率的な見込客の獲得が可能となるのです。
以下に半導体企業に最適な5つのデジタルマーケティング方法を挙げます。
1.コンテンツマーケティング
あなたの企業の認知や信頼性を高めることを目的として、企業ブログ、ホワイトペーパー、ケーススタディなどを活用し、ターゲット顧客に有益な情報を提供します。
見込客に有益な情報を提供することで、見込客との信頼関係を構築することを目的としているため、ブログ・ホワイトペーパー内では自社のサービスを過度に売り込むことはしません。
2.SEO(検索エンジン最適化)
Google・Yahoo!・Bingなどの検索エンジンで上位に表示されるための施策です。
例えば、半導体を設計・開発・製造してくれる半導体メーカーを探しているエレクトロニクス企業社員が、Googleで『半導体 OEM』というキーワードで検索したとしましょう。
その場合、あなたの企業のホームページが、ライバル企業のホームページよりも検索結果の上位に表示されることで、より多くのエレクトロニクス企業から問い合わせを受けることができるようになります。
検索結果の1位で表示されるページは、2位で表示されるページの2倍以上、クリック率が高くなるというデータがあります(クリック率は1位39.8%、2位18.7%、10.2%)。
そのため、事業拡大・売上アップを実現するためには、あなたの企業が制作したコンテンツ記事が、ライバル企業が制作した記事よりも検索結果の上位に表示される必要があるのです。
3.SNSマーケティング
YouTube・Facebook・Twitter・Instagramなどを活用し、SNSを通じてターゲット顧客に価値ある情報を提供、見込客との深い信頼関係を構築することで案件の受注を目指します。
ただし、多くの人に見てもらうこと・笑ってもらうこと・シェアしてもらうこと・感動してもらうことなどを目的とした投稿には、手を出してはならないことに注意が必要です。
これは、YouTubeであればチャンネル登録者数や動画の視聴回数を伸ばすことを目的としたバズ動画、Instagramであれば『いいね』を多くもらうことを目的とした写真投稿、Facebookであればアカウントの友達の数を増やすことを目的とした投稿を意味します。
これらは最も成功可能性の低い手法であるため、半導体マーケティングのプロである、officeじょに 代表の田中レジナルドであっても、この方法を採用することはありません。
4.PPC(クリック課金型広告)
検索エンジンやSNSプラットフォームに広告を掲載し、クリックごとに費用が発生する仕組みです。
半導体ユーザー企業の職員が、Googleなどで特定のキーワード(『半導体 OEM』『半導体 設計』『半導体 製造』など)を使い検索した際に、あなたの企業の半導体やサービスを案内する広告を表示させることで、ターゲット層にアプローチします。
5.Eメールマーケティング
見込客や既存客に対して、あなたの企業の半導体やサービスの情報・技術トレンドなどを定期的に配信し、関係を強化することでの案件受注を目指します。
Eメールを配信する際には、あなたの企業が設計・製造する半導体が、半導体ユーザー企業の製品にどのように役立つのかを、メール内にわかりやすく記載する必要があります。
自社半導体の技術力の高さを案内するメールを送信しても、顧客企業の社員が、技術力の高さが自社商品にどのように役立つかが理解できなければ、案件を受注することができないことが理由です。
デジタルマーケティングで得られる4つのメリット
半導体企業がデジタルマーケティングを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
1.ターゲット顧客だけにアプローチでき、より効率的な営業活動が可能となる
デジタル広告やSEOを活用すれば、半導体ユーザー企業だけに絞ったアプローチが可能です。
例えば、特定のキーワードに基づいて広告を表示したり、ターゲット層が訪れるウェブサイトやSNSに広告を掲載することで、半導体を必要としている顧客層だけにアプローチすることができます。
媒体の視聴者全員に広告を見せるテレビCMとは違い、見込みの高い顧客だけに限定してアプローチできるため、より低価格、より効率的な営業活動が可能となるのです。
2.データに基づくマーケティング活動ができるようになる
デジタルマーケティングは、あらゆる活動がデータとして蓄積され分析が可能です。
これにより、ユーザー企業であるエレクトロニクス企業・産業ロボット会社・医療機器メーカーなどが、どのような半導体を求めているかをリアルタイムで確認・調整することができます。
エレクトロニクス企業・産業ロボット会社・医療機器メーカーなどが求めている半導体についてより深く理解できれば、あなたの企業に半導体の設計・開発・製造を依頼してきた企業のライバル企業に対しても、営業アプローチをかけることができるようになります。
3.顧客との関係を長期的に築くことができる
デジタルマーケティングは、顧客との長期的な関係構築にも効果を発揮します。
例えば、Eメールマーケティングを通じて定期的に情報を提供することで、潜在的な見込客を育成し、最終的には商談・案件受注へと繋げることができます。
また、既存客に対しても長期的な関係継続を目的として、定期的にアプローチすることで、今より多くの案件を受注できるようになります。基本的に、既存客へのアプローチ費用は無料・少額であるため、ノーリスク・ハイリターンの施策といっても良いでしょう。
4.コスト効率が圧倒的に良くなる
半導体企業にとって、展示会や対面営業にかかるコストは決して安くありません。
展示会であったら、運営会社に100万円近い高額な出展料金を支払う必要があり、対面営業を実施するのであれば、最低でも年収500万円ほどの営業社員を何人か雇う必要があります。
しかし、デジタルマーケティングであれば、少額の広告費用でターゲット顧客にアプローチができるため、ライバル企業を圧倒的に上回るコスト効率で事業拡大や売上アップを実現することができます。
デジタルマーケティングでコストカットできた分の費用は、優秀な中途採用エンジニアを雇うための費用にあてる…といった戦術を繰り返していけば、今後5年以内を目安として、高確率でライバル企業をごぼう抜き、格上企業に追いつくことだってできるのです。
営業DXを実現するためのステップ
デジタルマーケティングの導入は、半導体企業にとって営業DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するための第一歩です。ここでは、営業DXを成功させるための具体的なステップを紹介します。
ステップ1: ターゲット市場の特定
半導体業界の特性として、製品が非常に専門的であり、ターゲット層が限られていることが挙げられます。
そのため、デジタルマーケティングを始める前に、自社がどのような市場をターゲットにしているのかを正確に把握することが重要です。
例えば、あなたの企業がエレクトロニクス製品向けのASICを提供している場合は、ターゲット市場は『エレクトロニクス会社』になります。そして、あなたの企業が自動車向けのマイコンを提供している場合は、ターゲット市場は『自動車メーカー』となるのです。
ステップ2: コンテンツ戦略の構築
ターゲット市場が明確になったら、次に取り組むべきはコンテンツ戦略の構築です。
半導体ユーザー企業の顧客が検索するキーワードをリサーチし、そのニーズに応えるコンテンツを提供することで、自然と顧客の目に留まるようにします。ブログ記事、ホワイトペーパー、技術ドキュメント、動画解説など、専門性の高いコンテンツが特に有効です。
ステップ3: SEOとオンライン広告の活用
SEO(検索エンジン最適化)を導入し、自社のウェブサイトが半導体関連のキーワード(『半導体 OEM』『半導体 製造』など)で検索された際に上位に表示されるように工夫しましょう。
また、Google・Yahoo!などの検索エンジンで、特定のキーワードに基づくオンライン広告を使い、あなたの企業のウェブサイトを顧客がすぐに見つけられるようにします。
特に、自社ホームページとは違い、半導体の設計・開発・製造案件を受注するためだけの『問い合わせ獲得専用のウェブサイト』は、ターゲット層に的確に届くため、効果的です。
ステップ4: 見込客の育成とCRM(顧客管理システム)の導入
デジタルマーケティングは単なる見込客の獲得だけでなく、見込客の育成が成功のカギとなります。
そのため、獲得した見込客に対して定期的にフォローアップを行い、適切なタイミングで営業に繋げる仕組みを整えることが重要です。
そのためには、CRM(顧客管理システム)の導入が不可欠です。CRM(顧客管理システム)を活用することで、見込客の現在の状況を管理し、営業活動をより効率化できます。
ステップ5: データ分析と最適化
最後に、デジタルマーケティング活動を定期的に分析し、必要に応じて戦略を見直すことが重要です。
ウェブサイトのトラフィック(流入経路)やコンバージョン率(成約率)、広告のクリック率などを追跡し、改善点を見つけ出します。
これにより、自社のデジタルマーケティング・営業DXを継続的に最適化し、より良い結果を出すことができるのです。
デジタルマーケティングで脱営業を実現しよう!
デジタルマーケティングは、半導体企業がより効率的に見込客を獲得するための強力な手法です。ターゲット市場の明確化、コンテンツ戦略の構築、SEOやPPC広告の活用、見込客の育成、データ分析といったステップをしっかりと踏むことで、営業DXを成功させることができます。ぜひ、デジタルマーケティングを取り入れて、貴社の営業プロセスを次のステージへと進化させましょう。
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