もしあなたが、
「ウチのマーケティング部には“女性”がいる。
やる気もあるし、SNSも頑張ってる。問題なんてない」
──そう思っているのなら、その認識は今すぐ捨てよ。

なぜなら、
それはあなたの会社の屋台骨を腐らせる致命的なミスだからだ。

いや、もっとはっきり言おう。
あなたの会社の売上が伸び悩んでいる“元凶”は、
そのマーケティング部門にある可能性が非常に高い。

この問題は、半導体やBtoB企業に限らない。
BtoC企業を含む日本中の企業に蔓延する“集団幻想”がある。
それが「女性=マーケティング向き」という、根拠のない思い込みだ。

なぜこんな誤解が広がるのか?
理由はただひとつ。
企業が“マーケティング”という仕事を正しく理解していないからだ。

結果、どうなるか?
マーケティング部門は“ゆるふわ広報部”に変質し、
数字を生まないどころか、
「会社の雰囲気を良くするだけのコストセンター」と化す。

勘違いしてはならない。
これは「女性が悪い」という話ではない。
問題の本質は、企業側の“誤解”にある。
そしてその誤解は、たった3つに要約できる。

この3つを放置すれば、あなたの会社のマーケティング部の女性社員たちは、
今後数年にわたり「数字は出ないが、雰囲気はいい部署」に居座り続けるだろう。

あなたが“正しい”マーケティングをしたければ──まずこの3つの誤解を叩き潰せ。

“女性”は戦場では通用しない

「女性を配置すれば、柔らかい印象になる」
「SNSは共感が命。女性の方が向いている」
「雰囲気が明るくなって、会社のイメージも良くなる」

──そんな寝言を、真顔で口にしているようでは、
あなたの会社は、今後も年商増は実現できない。

マーケティングとは、売れる仕組みを構築する“経営戦略の中核”である。それは“おしゃれ業務”でも、“印象づくり”の延長でもない。
ましてや、“やりたい人に任せる”ような気分任せの部門では断じてない。

そこに求められるのは、
冷徹な数字であるデータや、ロジック、エビデンスを
顧客にわかりやすく伝える力だ。

売上増を実現するための
“戦略の設計力”と“戦術の実行力”でもあり、
断じて「共感」ではない。

半導体業界の顧客は、情緒では動かない。
「かわいい」「親しみやすい」「やさしそう」──
そんな評価でモノは売れない。

必要なのは、
「説得力のあるストーリー設計」と、
「顧客の心を動かす論理と根拠」だけだ。

感性では売れない。根性でも売れない。
そしてあなたの会社も、この“現実”から逃れることはできない。

マーケティングに対する「3つの誤解」が、売上を殺す

誤解1:「マーケティング」と「広報」は同じだと思っている

これは、多くの企業が無意識に抱えている、
最も根深く、最も破壊力のある誤解だ。
この混同こそが、売れない原因の“元凶”である。

まず、マーケティングとは何か?

それは、「売れる仕組みを設計し、実行する」業務である。
ターゲットを定め、見込客を獲得し、育て、商談に誘導する。
つまり、戦略と戦術が一体となった“経営の武器”だ。

一方、広報の役割はまったく違う。

広報とは、
「社会からどう見られるか?」をコントロールする仕事。
テレビに出る。雑誌に載る。プレスリリースを書く。

それは、
“自社の好感度を高めることを目的とした、社会の印象操作”であり、
売上をつくるものではない。

マーケティングは“戦闘”、広報は“外交”──
混同した瞬間、あなたの会社のマーケティング部は、
“売上ゼロの印象操作部”へと堕ちる。

そして当然のごとく、
そこから1円の売上も生まれはしない。

誤解2:SNS=マーケティングだと思っている

Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、LinkedIn…

SNSは今や、企業活動に欠かせない“顧客との接触ツール”だ。
そのため「インスタグラム=女性」という雑な思い込みから、
女性社員をマーケティング部に配属している企業も少なくない。

だが、SNSは「戦略」ではない。「戦術」にしかすぎないのだ。
どれだけ映える投稿ができても、それ単体では売上に結びつかない。

SNSは、マーケティング全体の中で
「顧客との接点づくり」という役割を担うだけだ。

他にも、
ブログ、ホワイトペーパー、動画、展示会、
ホームページ、メール、イプロス、Web広告──

マーケティングとは、
これらすべてを一貫した“売れる設計図”として組み立てる業務である。

SNSしかやっていない状態は、
サッカーで例えれば「パス練習だけして試合に出る」ようなものだ。
パスがいくら上手くても、ゴールできなければ試合には勝てない。

SNSで「見てもらう」ことと、「売れる仕組みを作る」ことは──
似ているようで、まったくの別物である。

誤解3:「いいね」や「フォロワー数」が売上につながると思っている

SNSの「いいね」や「フォロワー数」「チャンネル登録者数」は、
たしかに目に見える“数字”だ。
だが、それはあくまで広報KPIであり、マーケティングKPIではない。

「バズっている=売れている」──
そんな都合のいい解釈は、まやかしに過ぎない。

たしかに、
美人・赤ちゃん・動物など“ウケる鉄板ネタ”を使えば、
フォロワーは集まる。

だが、そのフォロワーのうち──
何%が問い合わせをしたのか?
何%が顧客に転換できたのか?

その問いに答えられないなら、
あなたがやっているのはマーケティングではない。
単なる、自己満足の広報活動だ。

半導体企業のマーケティングに必要なのは、
「かわいい」「面白い」と思わせる演出ではなく、
顧客が“納得して動く”シナリオを設計し、
自社が“選ばれる理由”を明確に示すことである。

今こそ、「戦う人材」を配置せよ

あなたの会社が、今やるべきことは「女性を外せ」ではない。
性別ではなく、“成果を出せる人材”を配置せよ。それだけだ。

・自社SNSを、誰が、どう設計し、週に何回運用するのか?
・展示会やイプロスからの見込客を、どのように商談化させるか?
・結果の出ていないホームページには、どんな問題点があるのか?

──これらはすべて、売上に直結する“戦闘業務”である。
感性や雰囲気で決める“お飾り配置”では、ビジネスにならない。

「明るいから」「感じがいいから」「見た目がいいから」──
もしあなたの会社が、そんな理由で人材を配置しているのなら、
そのマーケティング部門は“戦力外の自己満足部隊”に転落する。

そのような人材の配置先はマーケティングではない。広報である。
役割が違う。求められる結果も、責任の重さも、まったく違うのだ。

あなたの会社が本気で勝ちたいなら──
戦略で勝て。仕組みで制せ。数字で語れ。

半導体業界という戦場で、生き残ることができるのは
「戦略設計・戦術実行の筋肉」を持つ人間だけなのだ。