もしあなたが──

「社長は部下から好かれることが第一」
「社員が笑顔で働く会社こそが理想だ」
「叱ると辞められるから、できるだけ怒らないようにしている」

──そう思っているのなら、今すぐその考えを捨てるべきである。
なぜなら、その“優しさ”が、会社を静かに腐らせていく毒だからだ。

あなたが無意識にとっている“好かれるための振る舞い”は、
緊張感のない組織、責任の所在が曖昧なチーム、そしてマーケティングが
一切機能しない環境を──あなた自身の手で作り出しているに等しい。

その証拠に、あなたの会社の空気を思い出してみてほしい。
やけに和やかで、誰一人としてピリッとしていない。
部下たちは毎朝笑顔であなたに挨拶をし、何も問題がないかのように報告をしてくる。

しかし──
あなた自身は彼らの仕事ぶりに幾度となく疑問を感じているはずだ。

だが──何も言えない。
「部下を信頼したいから」「和やかな空気を壊したくないから」
そんな理由で、あなたは部下の誤ちを正せずにいる。

そして気づけば、
「まあ、ウチの会社はこんなもんだ」と社長であるあなた自身が諦め始めている。
──その時点で、すでに事業停滞への第一歩を踏み出しているのだ。

社員との距離感を間違えれば、事業成長は止まる

では、なぜ“社員と仲良くなること”が、会社の停滞を招くのか?
それは、組織に不可欠な「緊張感」と「責任感」が失われるからである。

部下と馴れ合えば、あなたは「社長」ではなく、
ただの“フレンドリーな同僚”になる。
そうなれば当然、部下の仕事ぶりに疑問があっても、言葉を飲み込むようになる。

「嫌われたくない」という感情があなたの口を封じ、
「雰囲気が悪くなるから」と部下への追及を避けるようになる。
そして気づけば──誰も仕事の成果に責任を持たなくなる。

こうして組織は腐る。
誰も本気で働かず、誰も成果に対して緊張感を持たない。
ただ、“なんとなく忙しくしている”集団が出来上がる。

特にマーケティングの現場では、このぬるま湯が致命傷になる。

なぜ見込客が増えないのか?
なぜ展示会のあとに案件が生まれないのか?
なぜ広告や動画に顧客が反応しないのか?

答えはシンプルだ。
社長であるあなたが、それらを問いただしていないからである。

部下が仕事をやっているのであれば、あなたの会社は成長している

本来、正しいマーケティングをやっているのなら、売上は伸びる。
見込客も増える。商談も自然と発生する。

にもかかわらず、なぜあなたの会社の売上は伸びないのか?
それは──部下たちが「やっているフリ」をしているからである。

あなたの社員たちは、こんな報告をしてくるはずだ。

「今月もマーケティングの本を1冊読みました」
「マーケティング会社から資料請求をしています」
「今週もインスタを更新しました。マーケティング、やってます!」

──だが、それらは「頑張ってます感」をアピールするだけの
見せかけのパフォーマンスにすぎない。

それでもあなたは、「よくやってるな」と評価してしまう。
心のどこかで「何かがおかしい」と感じながらも──だ。

ここには、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの『裸の王様』の構造がある。
部下は言う。「私たちがやった仕事は、“怖い社長”には見えません」と。
そしてあなたは、こう答える。「なんと素晴らしいマーケティングだ」と。

──そのやり取りを繰り返した時点で、会社の成長は止まる。
あなた自身が“真実”から目を背けたその瞬間に、未来への扉は閉ざされるのだ。

「怖い社長」になれ。社員との距離感を大切にせよ

経営・マーケティングとは、 “成果を出すための集団”を指揮する仕事である。
そこに求められるのは、「優しいリーダー」ではなく、「結果を出す指揮官」だ。

社員と仲良くやることでもなければ、空気を読むことでもない。
社長の役目はただ1つ──組織を勝たせることである。

そのためには──

✔️ 間違っていれば叱れ
✔️ 動かないなら尻を叩け
✔️ 改善しなければ、容赦なく解雇せよ

こうした判断を下すために、あなたに必要なのは“嫌われる勇気”である。

好かれることより、正しいことを貫け。
優しさや人柄ではなく、数字と事実に基づいた判断力こそが、
これからの経営に必要な武器なのだ。

社員と無意味に“馴れ合っている”場合ではない。
リーダーであるあなたが軸を持たなければ、組織はすぐに空気に流される。

部下に“怖い”と思われるくらいでちょうどいい。
組織を勝たせるために前に立ち、決断と責任を背負う──それが、経営者の本質なのだ。

さあ、“優しさの仮面”を脱ぎ捨てろ。
見るべきは社員の顔色ではない。数字とデータだ。

その姿勢こそが──
あなたの会社が、熾烈な半導体戦国時代を勝ち抜くための
唯一のマーケティング戦略である。