もし社長であるあなたが──
「うちのホームページは有名なWeb制作会社に頼んだから大丈夫だ」
「“インテル入ってる”みたいに、ワクワクするキャッチコピーを載せれば売れるだろう」
「うちは技術力で勝負しているから、販売ページなんてそこそこでいい」

などと思っているのなら──今すぐそのおめでたい幻想を捨てろ。
これは、Webで製品を売ろうとするすべての製造業に向けた、極めて深刻な警告である。

まず、ハッキリと言っておく。
あなたの製品ページに、「導入後のメリット」「成果を示す具体的なデータ」
「他社での成功事例」が明記されていないのなら──
あなたは、売上の拡大も、事業の成長も、自ら手放しているに等しい。

製品スペックをただ並べただけのホームページ。
顧客の感情を煽ることだけを狙ったキャッチコピー。
営業社員が技術のこだわりを一方的に語る解説動画。
──どれだけ丁寧に作り込まれていようと、顧客の意思決定を動かすことはできない。

なぜなら、顧客が本当に知りたいのは──
その製品を導入した“あと”に、何がどう変わるのか、という「変化」だからだ。

そのため──
✔︎ 自社にとって、何がどう良くなるのか?
✔︎ それによって、どんな成果が得られるのか?
✔︎ 他社では、どんな結果が出たのか?

こうした情報が欠けている製品ページは、
顧客の意思決定に影響を与えることもなく、市場からも完全に無視される。
つまり、商談のきっかけすら生まれない“沈黙のページ”に成り下がるのだ。

そして、その致命的なミスをまさに犯し、
いまなお改めることなく放置している企業がある。

それは、経営やマーケティングに疎い地方の零細企業ではない。
年商1兆5000億円を誇る大企業──ミネベアミツミ株式会社である。

売れる気配のない販売ページに、社内は満足していた

ここで、実際の“失敗例”としてミネベアミツミの販売ページを見てみよう。
彼らの製品紹介ページには、いまも堂々と次のようなメッセージが並んでいる。

・「医療の未来を支える、ミネベアミツミの精密技術」
・「超精密へのこだわりが生み出した超高精度なボールベアリング」
・「低容量ニーズに、新たな選択肢を。」

──ぱっと見はどれも洗練されていて、
企業イメージを良く見せる“見栄えのいい”キャッチコピーに仕上がっている。

見た目は整っている。表現もスマート。自社の誇りもにじんでいる。
だが──顧客の「購入」にはつながらない。

顧客は何も感じない。記憶にも残らない。
なぜなら、こうした言葉に“自分ごと”としてのリアリティが一切ないからだ。
そのため、顧客側の購買担当やエンジニアの反応は、きわめてシビアだ。

・「で? だから何?」
・「うちの業界にも対応できるのか?」
・「この製品を導入して、具体的に何が変わる?」

つまり、誰の、どんな課題を、どう解決できる製品なのか。
導入後に、どんな改善や成果が得られるのか。
──その“最も重要な情報”が、どこにも書かれていないのだ。

にもかかわらず──
このページを制作したメンバーたちは、
手応えを感じていたに違いない。

広告代理店のコピーライターと“これはイケてる”と盛り上がり、上司が
“センスあるな”と満足げにうなずく。そしてその夜には、経営陣も交えて
ビールで乾杯。「いい製品ページができた」と誰もが信じていたに違いない。

だがその瞬間、誰にも気づかれないまま──
“売れない販売サイト”が、静かに誕生していたのである。

経営陣も、担当職員も、広告代理店も、誰ひとり気づいていない。
そのページには──最初から「売れる要素」が一切存在していなかった。

顧客が知りたいのは「技術」ではなく「変化」だ

ここで、ひとつはっきりさせておこう。

顧客は、ミネベアミツミのキャッチコピーに感動したいわけではない。
「うちの精密技術はすごいんです」といった、
自画自賛のアピールを聞きたいわけでもない。

顧客が知りたいのは、ただひとつ。
その製品を導入した「あと」、自分たちの現場や
業務にどんな変化が起きるのか──それだけだ。

✔︎ 不良率が◯%下がった
✔︎ 検査工程が半分に短縮された
✔︎ 信頼性が基準値を上回った
✔︎ クレームが激減した
✔︎ コストカットにつながった

つまり、顧客が求めているのは“技術の語り”ではない。
ミネベアミツミの製品が、自社にどんな成果をもたらすのかを示す、
信頼できる証拠である。

数値データ、導入前後の比較、実際の事例、グラフ、他社での成功事例──
こうした情報がそろって、はじめて見込み客は
「導入する価値がある」と判断するのだ。

では、あらためてミネベアミツミの販売サイトを見てみよう。

・「医療の未来を支える、ミネベアミツミの精密技術」
・「超精密へのこだわりが生み出した超高精度なボールベアリング」
・「低容量ニーズに、新たな選択肢を。」

……いずれも、製品導入によって
顧客にどんな変化がもたらされるのかには、一切触れていない。
書かれているのは、「私たちの技術は素晴らしい」という一方的なアピールに過ぎない。

これでは、売れるわけがない。
問い合わせも来なければ、資料請求も増えないのは当然だ。

セールスやマーケティングの基本は、「顧客にとっての利益を伝えること」。
それにもかかわらず、ミネベアミツミの販売サイトは──
最初から最後まで、ひたすら“自社のすごさ”を語るだけの構成になっている。

キャッチコピーではなく、「顧客の未来」を見せよ

ミネベアミツミのように、
自分たちだけが満足するキャッチコピーを並べて、
自己陶酔に浸るのは、もう終わりにすべきだ。

売れる会社は、「顧客の未来」を語っている。
成果を出す会社は、製品導入によって得られる効果を、
具体的な数値や実例を使って、顧客に「伝えている」。

たとえば、見込み客が知りたいのは、次のようなことだ。

✔︎ この製品を導入すると、どんな変化が起こるのか?
✔︎ 他社は、どのような成果を上げているのか?
✔︎ その効果を裏づけるデータや実話、成功ストーリーがあるのか?

──こうした問いに答えられない製品ページは、
見込み客の心に届かない「社内向けの自己満足資料」にすぎない。

忘れてはならない。
顧客が本当に求めているのは、広告代理店が好むような言い回しや、
マーケティング担当者が社内で評価されるためのキャッチコピーではない。

「この製品が自社の現場でどう活きるのか」
「導入によって、どんな価値や成果がもたらされるのか」──
顧客が知りたいのは、そうした具体的で現実的な変化なのだ。

だからこそ、
“自社のすごさ”ではなく、“顧客が得られる成果”を語らなければならない。
この視点こそが、「売れる製品ページ」をつくるための最低条件である。

さあ、ミネベアミツミの失敗を笑うのは、もう終わりにしよう。
他社の失敗は、見下すためにあるのではない。
自社を見直すための“反面教師”として活かすべきだ。

まずは、自社の販売サイトを見直してほしい。
そこに「顧客視点」はあるか?
顧客が得られる成果や変化が、しっかり言語化されているか?

このチェックを怠れば、どれだけ良い技術を持っていても、売れることはない。
もしそこに「技術自慢」や「社内でのウケを狙った言葉」しか
並んでいなかったら──今すぐ削除せよ。

その削除は単なる文言の整理ではない。
マーケティングの軸を、“自社視点”から“顧客視点”へと切り替えるための、
第一歩にほかならないのだ。

これこそが──
あなたの会社が、5年で年商100億円を超えるための、
唯一にして最も確実なマーケティング戦略である。