今すぐ“弱い製品”を切り捨てろ
もしあなたが、
「これはウチの主力・看板製品だから」
「昔から作っているし、お得意先もいるから」
「大手企業にはまだ使ってもらっているから」
──そんな理由で、売れない製品を温存しているのなら、
今すぐその幻想を捨ててほしい。
まず理解せよ。
製品に“愛着”など持つな。
売れていない時点で、それはもう製品ではない。
“過去の遺物”であり、経営資源を浪費するだけの「悪しき存在」だ。
いま、あなたが考えるべきはただ一つ。
「その製品は売れているか?利益を生んでいるか?」
この問いに「Yes」と即答できない製品は、すでに終わっている。
たとえ手間暇かけて開発したものであろうと、
技術的に面白いチャレンジだったとしても、
市場が価値を感じていない時点で、それは“自己満足”でしかない。
✔︎ 市場シェアが6位以下
✔︎ 利益があまり出ていない
✔︎ 競合との差別化ができていない
──この三拍子がそろった製品は、即刻「撤退対象」に認定せよ。
それでも残すというのなら、覚悟しておけ。
弱い製品を守る経営は、会社のリソースやキャッシュ、
社員を苦しめ、最後には──会社を殺す。
競争力のない製品は会社を腐らせる
売れない製品を捨てられない企業には、ある共通点がある。
それは、“競争力のない製品”が、静かに会社の命を蝕んで
いることに気づいていないということだ。
一見、そこまで大きな問題はないように見えるかもしれない。
だが、その製品はまさに“社内のがん細胞”である。
✔︎ 儲からない製品に、優秀な開発者がずっと張りついている
✔︎ 誰も買いたがらない製品を、営業が“ノルマ”で売らされている
✔︎ 利益は出ないのに、サポート対応にばかり時間を奪われている
これらの問題はすべて、「撤退しない」という経営判断のミスが引き起こしている。
そして、もっとも深刻なのは、
その“弱い製品”が、会社の「強み」にすら悪影響を及ぼすということだ。
本来なら投資すべき製品に集中させるべき人材も、時間も、資金も──
すべて“死に筋製品”に奪われていく。
これでは、あなたの会社の強みが活かされるはずもない。
競争の激しい半導体業界で、「広く浅く」は即死フラグだ。
中小半導体企業は、“他社がやれること”ではなく、
“自社が勝てること”に全集中しなければならない。
だからこそ、断言する。
生き残れるのは、「選ばれた製品」にリソースを全投入した者だけだ。
経営資源の分散は、中小企業にとって“死”を意味する
日本の半導体産業が、なぜここまで凋落したのか?
その理由は、あまりにも明白だ。
「すべてを自前で抱え込もうとした」こと。
つまり、“全部やる病”から脱却できなかったことに尽きる。
たしかに、かつてのIDMモデル(設計・製造・販売をすべて自社で行うスタイル)は
強かった。だが、それは「資金・人材・技術力」が揃っていた時代の話である。
世界が変わったのに、日本だけが変われなかった。
その間に、海外勢──特にTSMCはファウンドリ専業に特化し、
“選択と集中”という極めてシンプルで強力な戦略を突き進めた。
自社の得意分野に全リソースを注ぎ、他の工程や事業は容赦なく切り捨てる。
この判断こそが、彼らを「世界の製造インフラ」へと押し上げたのだ。
その結果、どうなったか?
✔︎ TSMCは今やApple、NVIDIA、Qualcommなどの“戦略的中枢パートナー”に
✔︎ 一方、日本企業は低収益な製品にも固執し続け、事業縮小・撤退を繰り返した
✔︎ 競争力のある製品を開発しようにも、利益が薄すぎて研究開発費が捻出できない
つまり──
「なんとなく残していた製品群」が、経営体力をじわじわ奪っていったのである。
その結果、「本当に勝負すべき製品」への投資も判断も遅れた。
これは歴史の話ではない。
まさに、いま現在あなたの会社でも起きている現実だ。
✔︎ 技術者の「好きだから」という思いだけで、設計・開発を続けさせている製品
✔︎ 管理職が「昔からあるから」という理由で、販売をやめたがらない旧型番
✔︎ 社長が「この製品はウチの看板だから」と言って、作り続けている非採算製品
──これら“情の経営判断”こそが、会社の首を絞める最大の病原体なのだ。
選択と集中こそが、中小企業にとって最良の戦略である
中小半導体企業には、大手のような潤沢な資本も、
豊富な人材も、悠長に構えていられる時間の余裕もない。
だからこそ、問われるのはただ一つ──
それは、「限られたリソースを、どこに投下するか」という決断だ。
あらゆる戦略の前提に、“経営資源の集中”がある。
どこに賭けるか。その判断の質で、企業の未来はすべて決まる。
結論はこうだ。
✔︎ 売れない製品/サービスは即座に捨てろ(シェア6位以下は撤退候補だ)
✔︎ 競合と差別化できない製品は切れ(情ではなく、市場で勝てるかで判断せよ)
✔︎ “将来の期待”ではなく、“いま実際に成果を出せるもの”に投資せよ。
やりたいこと、面白いこと、昔からの看板──それらに惑わされるな。
“やりたいこと”ではなく、“勝てること”に集中せよ。
“守りたい製品”ではなく、“売れる製品”だけを残せ。
一見すると冷徹な判断に見えるかもしれない。
だがこれは、社員と顧客の未来を守るための「経営者の愛のカタチ」である。
あなたの会社に残された資源は、そう多くない。
それを10個の製品にバラまくのか?
それとも、たった1つの“勝ち筋”に全集中するのか?
どちらに賭けるかは、あなた次第だ。
だが一つだけ確かなのは──
「分散」は敗北、「集中」が生存条件であるということだ。
今こそ、覚悟を決めよ。
“選ばれし製品”だけを武器に、一点突破で市場を制せ。