もしあなたが、
「ウチのマーケティング部には“女性”がいる。
やる気もあるし、SNSも頑張ってる。問題なんてない」
──そう思っているのなら、その認識は今すぐ捨て去れ。
なぜなら、
それはあなたの会社の屋台骨を静かに腐らせる、致命的なミスだからだ。
いや、もっと踏み込んで言おう。
あなたの会社の売上が伸び悩んでいる“真の原因”は──
そのマーケティング部門にある可能性が極めて高い。
しかもこの問題は、半導体やBtoB企業だけの話ではない。
BtoC企業を含む、日本中のあらゆる業界に蔓延する“集団幻想”がある。
それが、「女性=マーケティング向き」という、根拠なき思い込みだ。
では、なぜこんな誤解がここまで広がってしまったのか?
理由はただひとつ。
企業が“マーケティング”という仕事を、正しく理解していないからである。
その結果どうなるか?
マーケティング部門は、“売れる仕組み”をつくる部署ではなくなる。
いつの間にか、“ゆるふわ広報部”と化し、数字を生まないどころか、
「会社の雰囲気を良くするだけのコストセンター」へと転落する。
勘違いしてはならない。
これは「女性が悪い」という話ではない。
問題の本質は、あくまで企業側の“誤解”にあるのだ。
そしてあなたが、
本気で“売れるマーケティング”を実現したいのなら──
まずはその誤解を、徹底的に叩き潰せ。
目次
ただの“女性”は、戦場では通用しない
「女性を配置すれば、柔らかい印象になる」
「SNSは共感が命。女性の方が向いている」
「雰囲気が明るくなって、会社のイメージも良くなる」
──そんな寝言を真顔で口にしているようでは、
あなたの会社が“年商増”を実現する日は、永遠に来ない。
なぜなら、マーケティングとは──
売れる仕組みを構築する“経営戦略の中核”だからだ。
それは「おしゃれな業務」でもなければ、
「企業イメージをよくするための広報的な延長」でもない。
ましてや、「やりたい人にやらせておけばいい」という気分任せのポジションでは断じてない。
そこに本当に求められるのは──
冷徹な数字、緻密なロジック、明確なエビデンス。
それらを、顧客の言語に翻訳し、正しく伝える力である。
つまり、売上を生むために必要なのは、
“戦略を描く力”と“戦術を実行する力”。
そしてその本質に、「共感」など必要ない。
特に半導体業界において、
顧客は情緒や雰囲気でモノを選ばない。
「かわいい」「親しみやすい」「やさしそう」──
そんな抽象的な評価軸では、1円たりとも動かない。
求められるのは、ただ一つ。
「説得力のあるストーリー設計」と、
「心を動かす論理と根拠」である。
感性では売れない。根性でも売れない。
そして──あなたの会社も、この現実から逃れることはできない。
マーケティングに対する「3つの誤解」が、売上を殺す
誤解1:「マーケティング」と「広報」は同じだと思っている
これは、多くの企業が無意識に抱えている──
そして最も根深く、最も破壊力のある“誤解”だ。
この混同こそが、売れない原因の本丸である。
まず確認しよう。マーケティングとは何か?
それは、「売れる仕組みを設計し、実行する」仕事である。
ターゲットを定め、見込客を獲得し、育て、商談へと導く。
つまり、戦略と戦術が一体となった、“経営のための武器”だ。
一方で、広報の役割はまったく異なる。
広報とは──「社会からどう見られるか?」をコントロールする仕事だ。
テレビに出る、雑誌に載る、プレスリリースを書く……
それらはすべて、自社の好感度を高めるための“社会の印象操作”であり、
直接的に売上を生む業務ではない。
マーケティングは“戦闘”。広報は“外交”。
この2つを混同した瞬間──
あなたの会社のマーケティング部は、“売上ゼロの印象操作部”へと堕ちていく。
誤解2:SNS=マーケティングだと思っている
Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、LinkedIn……
今やSNSは、企業活動において欠かせない“顧客との接点ツール”となっている。
その影響もあってか──
「インスタグラム=女性が得意」という安易なイメージから、
女性社員をなんとなくマーケティング部に配属する企業も少なくない。
だが、ここに大きな誤解がある。
SNSは「戦略」ではない。「戦術」にすぎないのだ。
どれだけ映える投稿ができても、それ単体で売上が上がるわけではない。
SNSはあくまで、マーケティング全体の中で
「顧客との接点をつくる」という一部の役割を担っているにすぎない。
本来のマーケティングとは──
ブログ、ホワイトペーパー、動画、展示会、ホームページ、メール、イプロス、Web広告など、
あらゆる手段を組み合わせ、全体を“売れる設計図”として構築していく仕事である。
SNSだけに頼るのは、サッカーで言えば、
「パス練習だけして試合に出る」ようなもの。
たとえパスが上手くても、ゴールできなければ試合には勝てない。
SNSで「見てもらう」ことと、「売れる仕組みをつくる」ことは──
似ているようで、まったくの別物なのだ。
誤解3:「いいね」や「フォロワー数」が売上につながると思っている
SNSにおける「いいね」や「フォロワー数」「チャンネル登録者数」は、
たしかに目に見える“数字”であり、一見すると成果のように映る。
しかし、注意すべきは──
それらはあくまで“広報のKPI”であって、“マーケティングのKPI”ではないということだ。
「バズっている=売れている」──そんな都合のいい解釈は、まやかしに過ぎない。
たとえば、
美人・赤ちゃん・動物など、いわゆる“ウケる鉄板ネタ”を使えば、
フォロワーを増やすことはできる。
だが、重要なのはその先だ。
そのフォロワーのうち──
いったい何%が問い合わせをし、何%が実際の顧客へと転換できたのか?
この問いに、具体的な数字で答えられないのなら、
あなたがやっているのはマーケティングではない。
ただの“自己満足による広報活動”だ。
ましてや、BtoBかつ技術志向の強い半導体業界においては、
「かわいい」「面白い」といった演出では、顧客は動かない。
必要なのは──
顧客が“納得して動く”シナリオを緻密に設計し、
その中で「自社が選ばれる理由」を、論理と実利で明確に示すこと。
それが、マーケティング本来の役割である。
今こそ、「戦う人材」を配置せよ
勘違いしてはならない。
今、あなたがやるべきことは「女性を外す」ことではない。
配置すべきは──女性ではなく、“結果を出せる人材”である。
たとえば、
・自社SNSを、誰がどのように設計し、週に何回運用するのか?
・展示会やイプロスで獲得した見込客を、どうやって商談へとつなげるのか?
・成果の出ていないホームページには、どんな改善余地があるのか?
──これらはすべて、売上に直結する“戦闘業務”だ。
感性や雰囲気で決めた“お飾り配置”では、ビジネスにならない。
「明るいから」「感じがいいから」「見た目がいいから」──
もしあなたの会社が、そんな理由で人材を配置しているのだとしたら、
そのマーケティング部門は、すでに“戦力外の自己満足部隊”へと転落している。
そのような人材の配置先は、マーケティングではない。
広報だ。役割が違う。
求められる成果も、負うべき責任の重さも、まったく異なるのだ。
あなたの会社が本気で勝ちたいのなら──
戦略で勝て。仕組みで制せ。数字で語れ。
半導体業界という戦場で生き残れるのは、
「戦略設計」と「戦術実行」の筋肉を持つ者だけなのだ。