もしあなたが「うちもそろそろ広告を打とうか」と考えているなら──
ADEKAのCMを見てから広告制作を始めよう。
(ADEKA CM「素財姫(ADEKAダンス)篇」15秒 https://www.youtube.com/watch?v=mWdl62YhWFg)
そして、死ぬまで心に留めておこう。
絶対に、これをマネしてはならない。
半導体企業が作るべき広告において、ADEKAが犯した過ちは致命的だ。
この路線を追求すれば、広告費だけが空を飛び、売上は1円たりとも動かない。
あなたの会社も、同じ轍を踏むことになる。
──なぜなら、これは広告ではなく“映像作品”であるからだ。
そして、今、半導体企業が追求すべきなのは、
“映像作品”ではなく“年商増を実現できる武器”である。
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なぜ失敗なのか?──“感情訴求”というBtoC的発想の罠
ADEKAのCMに出てくるのは、
✔︎かわいい子ども(生田絵梨花)
✔︎コミカルな音楽
✔︎心が和む、ゆる~いダンス
いわゆる“エモい演出”を全面に押し出したBtoC型の広告である。
一見すれば「ほっこりしていい広告じゃないか」と思うかもしれない。
だが、その感想を抱くのはあくまで広告業界の人間か、通りすがりの一般人だ。
──半導体企業の顧客ではない。
考えてみてほしい。あなたの会社の製品・サービスを買う人間は誰か?
✔︎ 価格とROI(投資利益率)で判断する購買部長
✔︎ スペック表とにらめっこしている開発エンジニア
✔︎ 資材調達の更なる効率化に悩む管理職・調達社員
──彼らは、「かわいいね~」「ほっこりするね~」でモノを買うのか?
断じてNOだ。
彼らが見ているのは、
「この製品を導入することで、何がどれだけ変わるのか?」という
冷静かつ定量的な事実である。
しかも、決裁権者に説明しやすい
ロジック(論理)とエビデンス(証拠)を求めている。
BtoBの顧客は感情ではなく“根拠”で動く。
求めているのは
「この製品を導入すれば、どれだけコストが削減できるか」
「どういう課題が解決するのか」
という明確なベネフィット(利益・恩恵・便益)だ。
それを示さずに“感動ポエム”を打ってどうする?
相手が受験生なのに、ラブレターを渡しているようなものだ。
これはビジネスではない。
自己満足にすぎない。
具体例──ADEKAの広告は、なぜ“見られても買われない”のか
ADEKAのCMは、「広告代理店・動画会社がつくりたがるテンプレ」そのものである。
✔︎ 商品・サービス名が一度もでてこない
✔︎ 誰向けなのかがわからない
✔︎ 自社製品の訴求が一切ない
──つまり、「広告なのに、広告になっていない」。
いちばん危険なのは、「評価されている気がする」という錯覚だ。
「反響ありましたよ!SNSでも“いいね”がついてます!」
「チャンネル登録者数が1万人を超えました!大成功です!」
「TVCMで“知名度”が上がってます!SNS上も“カワイイ”のコメントでいっぱいです!」
──だから何だ?
これは“知名度の罠”である。
知名度が上がっても、“売れる”とは限らない。
半導体企業は世間から知られているだけでは意味がない。
信頼され、検討され、問い合わせされて初めて意味がある。
では、素材メーカーであるADEKAが、
本当にやるべき広告とは何だったのか?
それは、「企業名を覚えてもらう」だけではない。
「この素材が、誰にどう役に立つか」を明確に伝えることだ。
本来、ADEKAのような半導体企業が広告で訴求すべき内容は、
以下のようなものである。
✔︎「どの業界に、どんな用途で使える素材なのか」
✔︎「従来品に比べて、どれだけ性能が向上するのか」
✔︎「導入企業でどんな成果が出たのか」
このような情報を、顧客にとって“刺さる形”に加工し、
広告でアピールすべきだったのだ。
✔︎「EV電池の寿命を20%延ばした高機能素材とは?」
✔︎「半導体洗浄プロセスの“歩留まり”を改善した事例」
✔︎「ドライエッチングの時間を1/3に短縮できる理由」
これが、半導体企業が作るべき戦う広告である。
広告は“顧客の頭と心を動かす”設計が必要だ
半導体企業の広告におけるゴールは、“自社の好感度UP”ではない。
“商談につながる興味喚起”であり、“行動させる情報提供”である。
つまり、広告の本質とは──
✔︎ 顧客の頭を動かし(論理)
✔︎ 顧客の心を動かし(期待)
✔︎ 顧客の手を動かさせる(資料請求・問い合わせ)
この「三段活用」だ。
さらに言おう。
広告とは「話題」になるためのものではない。
行動を引き起こすための設計物である。
ADEKAのような“カワイイCM”を打つ暇があるなら、
1本の技術解説動画と、1枚の導入事例資料を作ろう。
それが10倍、いや100倍売上に貢献する。
広告を「作品化」するな、「武器化」せよ
広告とは、芸術ではない。
営業の代わりに顧客の懐に入り込む“ビジネスツール”である。
にもかかわらず、「カワイイ」「感動」「おもしろい」で攻めるのは
レーザースーツではなくスクール水着で五輪に出場するようなものだ。
あなたの会社が“戦う広告”を作るには──
✔︎ 市場に刺さるメッセージ
✔︎ 明確なターゲット
✔︎ 導線設計(資料ダウンロード後の営業アプローチ)
この3点を「戦略」として設計せよ。
マーケティングを、広告代理店の遊び道具にしてはならない。
売上を生む武器として使おう。
ADEKAの広告がなぜ終わっているのか?──その“全貌”がここにある
今回の記事で触れたADEKAのCM分析は、まだ“表層”にすぎない。
この広告はなぜ的外れなのか?
✔︎ 誰に向けてどのようなメッセージを発信すべきだったか?
✔︎ なぜ代理店に任せると、このような広告を納品されるのか?
✔︎ 本来ADEKAが伝えるべきだった“本質的な価値”とは何か?
──そのすべてが、この書籍『ザ・半導体マーケティング
に書かれている。
競合を市場から締め出す人情なき戦略』
本書では、ADEKAの事例を参考にしながら、
✔︎「笑い・感動・カワイイ」系のCMが失敗する理由
✔︎なぜ広告代理店はあなたの“敵”になり得るのか?
✔︎顧客を動かすことができる“リアルな広告戦略”の型
まで、実例ベースで徹底解説している。
✔︎「売れる広告を作りたい」
✔︎「ダメな広告について知っておきたい」
✔︎「広告を打っても無反応」
そう感じたことが一度でもあるなら
この本がオススメだ。
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